2017年、新聞5紙は「トランプ大統領、北朝鮮」をどう報じた? 比較すると見えてくる特徴
あるニュースを新聞が書いても書かなくても、ネットで「偏向報道」だと言われる昨今。そのなかで『すべての新聞は「偏って」いる』を著した荻上チキ氏は、今年の新聞報道をどう分析するのだろうか――。
…ロヒンギャの難民問題、テロの頻発などありつつ、話題の中心は常にトランプ大統領。北朝鮮も現実的な脅威として語られ始めた
’17年の最初の大きなニュースと言えば、トランプ米大統領の就任。各紙は当初、「『米国第一』では安定と繁栄失う」(読売)、「内向き超大国を憂う」(朝日)、「分断を世界に広げるな」(毎日)、「『米国第一』を世界に拡散させるな」(日経)と警戒感を示しつつ、「安倍晋三首相は(略)早急に意思疎通を図るべきである」(産経)と各紙、日本の役割を強調していた。
そのトランプ大統領は、11月5日に初来日。安倍首相との親密さと「おもてなし外交」の詳細が連日報道された。「『ケチャップ流』今回は…」(毎日11月5日)と外交儀礼より好みを優先させる姿勢を揶揄する記事があれば、トランプ大統領が兵器購入を求めたことに「これほど優秀なビジネスマンはいない」(朝日11月7日)と皮肉る記事も。読売も、「日米首脳『別格』の仲・首相の『傾斜』危ぶむ声も」(11月6日)という記事を掲載している。
実はこのトランプ大統領来日のニュースについては、ちょっとした騒動も。11月6日の朝刊一面で「朝日だけがトランプ来日を報じてない」と一部ネットで話題になった。「朝日の偏向報道!」とするツイートも見られたが、実は日経も一面トップは「クールジャパン過半未達」の記事。そして両紙とも一面のカタで来日をちゃんと報道している。
ただ、朝日新聞が報じたのは、「パラダイス文書」に関する大スクープだった。朝日はその後も、特設サイトを作るなど力の入った報道を続けている。
一方、他紙のこの件に関する報道を見ると……。日経は「日本企業も記載 丸紅や住友商事『問題ない』」(11月7日)といった国内株式市場に影響を与える分析に着目。産経は、世界の大富豪の税金対策を市井の話題とするためか、漫画家・鳥山明氏や鳩山由紀夫元首相らの名を挙げていた。
国際問題
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『すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論』 「バイアスのないメディアなど存在しない」という前提に立ち、その「クセ」を詳らかにすることで、分断する社会で溢れる情報とつきあう具体的スキルを提示する一冊 |
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