パートナーの発達障害に悩む「カサンドラ症候群」。当事者夫婦の対策は?
「カサンドラ症候群」という言葉をご存知だろうか。
一般的に、アスペルガー症候群の“夫”を持つ“妻”が、相手と情緒的な相互関係が築けないために身体的・精神的に不調をきたすことを指す場合が多い。近年は書籍や記事、テレビ番組などでたびたび取り上げられており、彼女たちの苦しみの深刻さが見えてくる。
しかし、カサンドラ“症候群”とはいうものの、医学でコンセンサスを得られた障害や病気ではないことは重要なポイントだ。カサンドラという概念そのものに限界があると指摘する医師もいる。一歩間違えば、アスペルガーを含む発達障害当事者への偏見や差別を生みかねないとの懸念の声も挙がる。
そもそも「アスペルガー症候群」は最新の診断基準では使われていない用語であるし(「自閉スペクトラム症」に含まれる)、“夫”が実は診断を受けていなかったり、他の障害や疾病が影響していたりすることも少なくない。カサンドラだと思われている個別のケースは、必ずしもアスペルガーに起因するとは言い切れないのが現状だ。また、反対に妻に影響を受けて夫が“カサンドラ”のような状態に陥ることもあり、実態はきわめて不透明だ。
そうした現状の中で、パートナー関係の中に“カサンドラ”を生じさせないためにさまざまな対策やハックを取り入れている当事者たちがいる。その事例を紹介しよう。
◯メモを取りながら夫婦ゲンカ
「以前は話し合いをすると、夫から見下されて対等に思ってもらえず、不満を溜め込んでしまっていました。今はケンカするときに、事実を整理してメモを取ります。『ちゃんと覚えてるけど出来ない』という状態を理解し合えるようになりました。脱線や迷走をしないように、目的を書いておくこともあります」(30代・女性)
ケンカは夫婦の共同作業だ。試行錯誤しながら、お互いの特性や性格に合わせた“オリジナルのケンカ”を見出せれば、コミュニケーションが好転していく場合がありそうだ。
◯LINEでToDo専用の夫婦グループを作る
「買い物やタスクは普段のLINEとは別に『TODO』というグループで管理しています」(20代・男性)
事務連絡で認識の違いなどが生じ、その擦り合わせに手間取ってしまうと、“情緒的な”コミュニケーションを取るための余力が残らなくなってしまう。LINEのグループ機能を活用するこの事例は、事務連絡のズレを軽減し、お互いに寄り添った関係性を築ける余裕を生む可能性があるだろう。
原因はアスペルガーとは限らない
当事者たちのカサンドラ対策とは?
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