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パートナーの発達障害に悩む「カサンドラ症候群」。当事者夫婦の対策は?

◯家庭のルールを壁に貼っておく 「“確認書”を壁に貼ったら落ち着きました。結婚してから役所関係の手続きが増えたことや新生活が始まったことによるストレスで、ある日その怒りを嫁にぶつけてしまい、一時的に家を追い出されました。話し合いをする中で明文化することを思いつき、掲示しました」(30代・男性)  カサンドラは、互いの“当たり前”や“普通”が違うことによって起こるものなのかもしれない。確認書は、“違うこと”をうまく擦り合わせるツールとして機能しているのではないか。 ◯思い切って、離れて暮らす 「今は別居婚です。離れるのはお互いに心地よく暮らすひとつの手段だと思います。出来ることなら上手く一緒の家で暮らしたいのですが…。模索中です」(30代・女性)  いっそのこと離れてしまえば、カサンドラにはなる確率は格段に下がる。さまざまな事情によってそう簡単にはいかないケースもあるだろうが、相手がアスペルガーであってもそうでなくても、関係を改善するためには、前向きに離れるという選択肢も一考に値するはずだ。

それぞれに合った“オリジナルの関係性”を

 発達障害の有無に限らず、夫婦間にはそれぞれに違いがある。さまざまなハックが共有され、それぞれの違いに合った対策を講じていければいい。  翻って、「パートナーがアスペルガーだから」という理由で非難するのは偏見であり、避けるべきだ。特性は踏まえた上で、目の前にいる“その人自身”を見ていく必要がある。  また、カサンドラ症候群と言われる人の中には、精神科の専門的な治療を必要としている状態の人もいるだろう。まずは自分の心身を守ることを優先するべきだ。  カサンドラの当事者会に参加する西原三葉さんは言う。 「カサンドラの人々には、周りに理解してもらえず自分を責めてしまうという苦しさがあります。でも、似た境遇の人と出会って悩みに共感してもらえると、苦しんでいるのは自分だけではないと気づけて、そこから抜け出す力が湧いてくる可能性もあります。カサンドラ脱出の第一歩に、当事者会への参加をおすすめします」  当事者会やハックなど、頼れるものはたくさんある。パートナー関係に困難さを抱える人は、「カサンドラ症候群」という不安定な言葉にとらわれ過ぎず、まずは自分の心身を守りながら、それぞれに合ったオリジナルの関係性を探求することをおすすめしたい。ときには離れることも視野に入れ、パートナー関係を見つめ直してみてはいかがだろうか。 <取材・文・写真/えんどうこうた(@kotart90)>
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