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月収12万円のフリーターがシェアハウス経営に挑戦「家賃を払ってもらえない」

「シェアハウスを始める前は、もっと簡単にできると考えていたのですが……」  そう語るのは、3年前に会社を辞めて以来、フリーターとして生きてきた橋本さん(仮名・28歳)だ。Uber Eats配達員などの仕事で稼いだ月12万円ほどの収入で満足してしまい、ほぼ一日中寝ているだけの堕落した生活を送っていた。ただ、そんな彼にも転機が訪れる。 「アパートから契約満了で追い出される時期が来たんですよ。どうしようかと思っていたら、友人に『シェアハウスでもやって、自分も住めばいいじゃない』とアドバイスを受け、心機一転、自分でやろうと決心しました」  こうして数ヶ月前からシェアハウス経営を始めることになったが、“個性たっぷり”の住人たちのおかげで苦労の連続だという。

フリーターが一念発起、シェアハウスを経営してみたら…

二段ベッド

二段ベッドが並ぶ部屋

 初期投資も高くなかったことから「自分でもできるかな」と思った橋本さん。「助けてくれる人がいた」おかげで東京23区内に物件を借りられたという。  実際に筆者が訪れてみると、そこはもともと町工場だったらしい。作業用の大きなコンセントがあり、部屋の壁には換気扇が付いている。建物自体はかなり古いが室内はよく清掃されていた。合計二部屋で、二段ベッドが5台。10人が住めるようになっているようだ。  シャワールームが取り付けられ、トイレにはウォシュレットが備わっている。台所や冷蔵庫、鍵が付いたロッカーもある。橋本さんが言う。 「空き家になったこの物件をゲストハウス経営しようと思った人が、オリンピック需要を狙って買い上げたのですが、コロナ禍で頓挫して手放したようです。  そのおかげで安く借りることができました。ベッドとシャワーが最初からあったし、初期費用としてはロッカーが高かったくらいですかね」

「ワケあり」っぽい人にターゲットを絞った

台所

台所は古いが、よく清掃されている

 彼が経営するシェアハウスは駅から徒歩10分程度、都心部にも出やすく、建物は古いが、管理費など込みで家賃は月2万5000円と格安。 「共同部屋ですが、この安さだし募集をかければ、すぐに住人は集まると思っていました」  しかし、ここからが大変だった。  日本語学校に張り紙を貼らせてもらい、ホームページもつくった。Twitterで「お金を配ります」という怪しいツイートに「いいね!」をつけまくっている人や、借金でクビが回らなくなっている人を見つけてはDM(ダイレクトメール)を送った。  普通に社会生活を送っているような人には、共同部屋で家賃が安すぎるという点で敬遠されてしまうので、要するに「ワケあり」っぽい人にターゲットを絞ったのだ。 「TwitterのDMでやりとりできる人はまともなんですが、募集サイト経由で応募してくる人が、とにかく面倒な人が多いですね。けっこう疲れてきました……」
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家賃を払ってもらえない
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