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横浜発・レゲエ世界チャンプが語る、ジャマイカでの「ヤバすぎる体験」4選/MASTA SIMON(MIGHTY CROWN)インタビュー

 音楽イベント中の発砲は日常茶飯事。街を歩けばカツアゲとタカリの嵐。拳銃を突きつけられて脅された経験もある……。  そんな90年代ジャマイカのヤバすぎるエピソードも多数収録された書籍が、レゲエのサウンドシステム・MIGHTY CROWN(マイティークラウン)が自身の活動遍歴をまとめた『世界サウンドクラッシュ紀行』(イースト・プレス)だ。
JAMROCK CRUISE SOUND CLASH at SEA

船上でのJAMROCK CRUISE SOUND CLASH at SEAで3連覇を成し遂げた。※提供写真

 観客・プレイヤーの9割以上が黒人の音楽ジャンルで30年以上活動を続け、「サウンドクラッシュ」と呼ばれる音のバトルで世界一の称号を8回獲得した彼らだが、アメリカの黒人街やジャマイカでの修行の日々では、さまざまな危険な目にも遭ってきた。
MASTA SIMON

MIGHTY CROWNのMASTA SIMON氏

 今回は中心メンバーのMASTA SIMON(マスター サイモン)氏に、「ジャマイカで体験したヤバすぎるエピソード」4選を語ってもらった。

①イベント中に拳銃が鳴り響いても「ルード・ボーイは逃げちゃダメだ!」

WORLD CLASH 99

1999年、NYのブルックリンで行われたWORLD CLASH 99 初出場初優勝。アジア人として初の世界一に(写真左から、SAMI-T、CHIN、MASTA SIMON)※提供写真

 SIMON氏がレゲエの本場・ジャマイカを初めて訪れたのは1993年。宿泊した場所はギャングの巣窟のほど近くだった。街を歩けば10mおきに声をかけられ脅されて、宿にいるときはドアの下からナイフをガンガン差し込まれ、「開けろ!!」と叫ばれる。バスでつり革に掴まっていると、堂々とポケットに手を突っ込んでカネを盗もうとする輩もいた。「当時のジャマイカは今よりもっとラフな世界だったね」とSIMON氏は振り返る。 「分かりやすく日本と違ったのは、拳銃を目にする機会が多かったってこと。最近は規制も強まって状況が変わったけど、90年代~2000年代の前半ごろまでは、向こうの夜のダンス(レゲエのパーティー)の現場で銃声を聞いたことは何度もあったから」 MASTA SIMON レゲエのカルチャーでは、イベント中にいい曲がかかると空に向けて拳銃を発砲する「ガン・サルート」という習慣がある(※現在は銃の形を作った手を掲げる「ガン・フィンガー」に変化)。本の中では「ガンガン撃っている人が実は警察官だった」という驚きのエピソードもあった。 「93年にHouse of Leoっていう屋外の人気のハコで、当時いちばん人気だったStone Love(ストーン・ラヴ)ってサウンドのダンスを見たときもヤバかった。そのときも会場で銃声が聞こえて、観客は波のように動いてパニックに。俺らも逃げようとしたんだけど、一緒にダンスに来ていた現地の連中は、『ビビってんじゃねえ!ルード・ボーイは逃げちゃダメだ!』とか言ってくるんだよ(笑)」  ルード・ボーイというのはタフでクールな不良を指す言葉。MIGHTY CROWNが取り組むダンスホール(レゲエの中の1ジャンル)は、そうしたゲトーのカルチャーとの結びつきも深い。そのため本気で音楽に取り組むなかでは、危険な場所に足を踏み入れることもあったわけだ。

②“麻薬王”のパーティでは自分の周囲で10人が発砲

「2000年代前半のジャマイカで見た、ジム・ブラウンっていう超有名なギャングの追悼イベントもすごかった。ジャマイカでは無料で楽しめるストリートのダンスが毎晩のように開催されているんだけど、ゲトーでやっているダンスに遊びに行ったら、それが彼の追悼イベントだったことがあったんだよね」  ちなみにジム・ブラウン(本名レスター・ロイド・コーク)の息子のクリストファー・コークは“ジャマイカの麻薬王”と呼ばれ、近年も世界のニュースを賑わしている人物。つまり本物のギャング一族だ。 「その日のダンスも、周りにいるのはギャングの仲間たちだから、銃の撃ち方はハンパなかった。いい曲が流れるとバーン!と撃つんだけど、本当に盛り上がったときは、俺の周りの半径10mくらいで10人くらいが銃を撃ちまくっていた(笑)」  そのほか拳銃にまつわるエピソードでは、「レコーディングスタジオで2人組のギャングに拳銃で脅されるも、ナタを持ったラスタマンが助けに入って撃退した」なんていう逸話もあった。
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ジャマイカでの「ヤバすぎる体験」
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●クルーズ情報
Mighty Crown 30th Anniversary -The Final- FAR EAST REGGAE CRUISE
日本初! 世界最大級の豪華客船によるミュージック・クルーズ就航! Mighty Crown、結成30周年&サウンド活動のファイナルステージは5泊6日の極上の船旅。

日程:2023年7月15日(土)~7月20日(木)
客船:MSCベリッシマ
出発地:横浜発 / 横浜着
寄港地:済州(韓国)、熊本(日本)
料金:188,000円 ~ 650,000円(大人お1人様・2名1室利用の場合)
※諸税・船内チップなど別途。金額は客室タイプやご利用人数などにより異なります。
予約:客室タイプなど詳細をオフィシャルサイトでお申し込みください。
オフィシャルサイトhttps://www.fareastreggaecruise.com/
世界サウンドクラッシュ紀行

ジャマイカ、ニューヨーク、カリブの島々――。9割が黒人のレゲエ界で前人未到の景色を切り拓いてきた“世界のマイティークラウン”が、世界40か国200都市でのヤバい体験と、道なき道を切り開いた活動遍歴を書き尽くした1冊。
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