新型コロナウィルスの影響で、外出自粛要請の続く現在。自宅でのリモートワークが続き、運動不足で体にコリや痛みが出てきている人や、ストレスが溜まっている人は多いだろう。
そこで今回は、『
今日から自宅がジムになる 「宅トレ」』(カンゼン)を4月15日に発表したスポーツトレーナーの坂詰真二氏にインタビュー。同書で取り上げられた自宅で行えるエクササイズを、その必要性や効果の解説を交えて4回に分けて紹介する。第3回は自宅でできる有酸素運動2種を紹介する。
「下記の『エア・ウォーキング』を1分と『エア・スケーティング』を1分、計2分で1セットです。これを交互に2~5セット(4分~10分)繰り返しましょう」(坂詰氏)
サーキット有酸素運動「エア・ウォーキング」
テンポは4/4拍子で120拍/分(2秒に1回屈伸をするリズム)。「上り坂を歩く動作を模した運動です。足を前後に開いてリズミカルに屈伸をしながら、腕を大きく前後に振りましょう」(坂詰氏)
①足を前後に一歩分開いて両膝を伸ばし、後ろの踵を上げる。肘を直角に曲げて、脚とは逆方向に振って構える。背すじを伸ばし、バトンを持つように手を軽く握る。
②「イチ、ニイ」で両膝を曲げながら体を沈めて左右の腕を体側に近づけ、
③「サン、シイ」で再び両膝を伸ばしながら、腕を開始姿勢と逆方向に振る。続けて屈伸をしながら腕を逆方向に振って1往復。
④「①⇒②⇒③⇒②⇒①」の動きを30秒繰り返したら、前後の足を入れ替えて同様に30秒繰り返す。(1分間で30回屈伸する。)
テンポは4/4拍子で120拍/分(2秒に1回足を踏み出すリズム)。「スピードスケートの動作を模した運動です。V字を描くように足を左右に交互に踏み出しながら腕も大きく振ります」(坂詰氏)
①足を腰幅に開いて膝を軽く曲げ、背すじを伸ばして軽く前傾する。両肘を軽く曲げて下ろしておく。
②「イチ、ニイ」で前傾姿勢を保ったまま片足を斜め前に踏み出し、同時に両腕を逆側に振る。
③「サン、シイ」で踏み出した足で床を蹴って①の形に戻る。
④「ゴオ、ロク」でもう一方の足を踏み出して腕を振り、「シチ、ハチ」で戻る。これを左右交互に1分繰り返す。(1分間で左右に15回ずつ踏み出す。)
デスクワークの「静的疲労」を解消!
有酸素運動と聞くと多くの人がウォーキングやランニングを思い浮かべるだろうが、それに相当する運動は、このように室内でも行える。またここで紹介した有酸素運動は、ストレス発散に効果的なだけでなく、デスクワークで疲れた体を効率的に癒やす上でも役立つという。
「パソコンに向き合って長時間を同じ姿勢で過ごすと、上体や腕の位置を保つために筋肉は弱い収縮を続けることになり、血液の循環が滞ります。デスクワークは肉体労働と違い4~5時間でも続けられますから、気づかないうちに体内に疲労物質が蓄積され、1日の終わりにはドッと疲れを感じてしまうわけです。こうした疲労は『静的疲労』といえるもので、体を休ませるだけでは改善しにくいですが、全身運動で固まった筋肉を動かせば改善が早まります」
そして有酸素運動はダイエットにも効果的だ。
「有酸素運動は全身を使うため直接的なエネルギー消費量が多く、体脂肪を減らし、生活習慣病を予防する効果があります。外出自粛要請が出て以降は、多くの人が日常生活の運動量が減少し、エネルギー消費量も減っているでしょうから、有酸素運動はぜひ行ってほしいです」
なお新型コロナウィルスでは肺炎症状が重篤化するケースがあるが、そうした体の危機に備える上でも有酸素運動は有効。
「有酸素運動には心臓や血管などの循環器系の機能と、肺や気管支などの呼吸器系の機能を高める効果もあります。逆に有酸素運動が不足した状態が続くと、少しの運動でも動悸や息切れや疲労を感じやすくなり、感染症にかかったときにはそれが顕著となります」
新型コロナウィルスの感染拡大の長期化が予測され、「誰がいつ感染してもおかしくない」という状態が続く現在。仮に自分が感染したときのことも想定し、自宅でのエクササイズで体の健康はしっかり保っておこう。
坂詰真二
NSCA 認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。同協会認定パーソナルトレーナー。「スポーツ&サイエンス」代表。トレーニングの指導者育成、各種メディアを通じての運動指導などで活躍中。『坂詰式正しい筋トレの教科書』『パートナー・ストレッチ』(共にカンゼン)など著書多数。
<構成/古澤誠一郎 モデル/中馬 亜梨沙>