あどけない笑顔と、時折見える大人っぽい表情のギャップで心をつかむ俳優・桜田ひより（さくらだ・ひより）。7月7日（金）から公開中の映画『交換ウソ日記』では、恋愛映画で初ヒロイン。周りの空気を読みすぎて、言いたいことが上手く言えない高校生・黒田希美役を演じている。 デジタルネイティブ世代でもある彼女。手書きの「交換日記」には、身近な懐かしさを感じるという。ウソからはじまる恋を描いた映画の魅力から最近の私生活まで、話を聞いた。 ──『交換ウソ日記』というタイトルの映画ですが、桜田さんの世代は、「交換日記」や「ラブレター」に古風なイメージを持っているかと思いました。 桜田ひより（以下、桜田）　私自身は、小学生の頃に友達と交換日記をしていました。それに「プロフィール帳」という手書きのカードが流行った世代でもあるので、「文字に書いて、残るやり取りをする」っていうのは、古いというよりも「私もやってたな」という懐かしい気持ちになるアイテムです。 ──映画の中ではラブレターで告白されますが、ラブレターに憧れはありますか。 桜田　そうですね。口で伝えることももちろん素敵ですけど、文字にしか表れないその人の気持ちもあると思うので、ラブレターはドキドキすると思います。 ──桜田さんが演じた「希美」はどんなヒロインでしょうか。 桜田　希美ちゃんは、周りの空気を読みすぎる女の子。話の聞き手にまわることが多くて、それは私と似ていると思いました。見ている人に「もっとこうしたらいいのに」と感じさせる、もどかしい子でもあるんですが、私は演じるときには彼女に寄り添うことを大切にしていました。 「空気を読む」って、良いことだと思うんです。読みすぎる必要はないけれど、読まなさすぎても一緒にいる相手に「苦痛だな」って思わせちゃう。私は一緒にいる人にはリラックスして過ごしてほしいので、相手に興味を持って、お互いに負担にならない空気づくりをしていきたいと思っています。 ──今回の映画は、茅島みずきさんや、元「＝LOVE」の齊藤なぎささんなど、同世代の俳優さんが多い現場だったのでは。 桜田　同世代が多くて、本当の学生生活みたいな現場でした。撮影の前半は、みずきちゃん、なぎさちゃんと女子だけの撮影が多かったので、朝から晩まで3人で一緒にいて、仲も深まりました。私は、子役時代から年上の方と一緒に演技をすることが多かったんですが、同じ年代の方たちと一緒にする演技はすごくストレートで、違った新鮮味があって刺激的でした。キャリアが長いぶん、自分でも古くなってしまった部分があると思うんです。でも今回、みんなのキラキラした表現を毎日のように感じられて、ありがたいなあって思いました。 みずきちゃんは、ファッション雑誌『Seventeen』（集英社）で一緒にお仕事していたので、元々後輩として親しくしてくれていたんです。なぎさちゃんは、テレビで拝見することが多かったので「どういう子なんだろう」と想像しながら撮影に臨みました。先になぎさちゃんから話しかけてくれて、話していくなかで、彼女の仕事に対するプロ意識やアプローチを知りました。本当に真面目で、周りのことを考えている子だなっていう印象です。撮影中は、みんなでお弁当の話ばかりしていた思い出があります（笑）。 ──キャリアを積んできたぶん、桜田さんは主演、座長という立場になることも増えてきましたよね。現場の雰囲気づくりで心がけていることはありますか。 桜田　立場が上になっていくと、確かに責任感とか、いままでにないいろんなものが生まれてきます。でも、あまり気を張りすぎても「頑張ってる感」が相手に伝わってしまうし、だからといって普通の自分でいたら楽しくないし。なので、自分の無理のない範囲で「楽しいな」って思える環境づくりを大切にしています。 ──今回の映画は「ウソからはじまる恋」を描いた作品ですが、桜田さんはこれまでに何か大きいウソをついたことがありますか。 桜田　はい、あります。整体に行ったときに、整体師さんに「なんのお仕事をされているんですか」と聞かれて、でもこういうお仕事だから答えられなくて、とっさに「服のデザイナーです！」と言ったことです。 ウソなのに、お仕事の話がめっちゃ盛り上がっちゃって……。「立ち仕事ですか」と聞かれたら「デザインするときは、基本PCの前にいるんです」とか、「でも、たまに販売のほうも手伝ってて、立ち仕事もありますねー」とか、その場で話をつくってしまったんです。結局行きにくくなって、その後は通えなくなってしまいました（笑）。