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ガクテンソク優勝『THE SECOND』徹底分析。“後攻有利”はなぜ起きたのか

 5月18日午後7時から約4時間にわたり『THE SECOND~漫才トーナメント~2024』グランプリファイナルが放映された。ここまで勝ち抜いた「結成16年以上」のベテラン漫才師8組は、ハンジロウ、金属バット、ラフ次元、ガクテンソク、ななまがり、タモンズ、タイムマシーン3号、ザ・パンチ(登場順)、審査するのは 昨年に引き続き100人の観客。また、アンバサダー・松本人志に代わり、ハイパーゼネラルマネージャーとして有田哲平(くりぃむしちゅー)が、スペシャルサポーターとして博多華丸・大吉が登壇した。2023年チャンピオン・ギャロップに続き、セカンドチャンス」を賭けた戦いを制するのは?
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大会最高得点での優勝は、ガクテンソク(左/よじょう、右/奥田修二)、準優勝はザ・パンチ(左/パンチ浜崎、右/ノーパンチ松尾)(イラスト/まつもとりえこ)

 M-1グランプリ、キングオブコント、R-1グランプリ、THE W、THE SECONDと、有名お笑い賞レースの採点結果を分析してきたお笑い好きテレビっ子・井上マサキ@inomsk)が解説、お笑いを愛するまつもとりえこ@riekomatsumoto)がイラストを担当します。

番組開始30秒で前回王者ギャロップが漫才

 時刻は19時。画面に映し出されたのは、青い照明に浮かび上がる番組セットと観客270名。タイトルコールと共に、初代王者のギャロップが呼び込まれて漫才を始めるまで、わずか30秒。『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜 2024』は、こうしてあっという間に初代王者のオープニングアクトで幕を開けた。  昨年末の『M-1グランプリ2023』もウエストランドからスタートしていたが、こちらは無観客のビル屋上から1分30秒。『THE SECOND』はこれから決戦が行われるスタジオで、たっぷり5分もギャロップのネタを見せる。スタジオを温め、トップバッターの不利を払拭する狙いもあっただろう。しかしそれ以上に、王者の漫才に対するリスペクトを感じた5分間だった。  徹底して「漫才師ファースト」で作られた前大会から、対戦形式や審査方法を変えることなく今大会を迎えた『THE SECOND』。結成16年以上の漫才師8組によるグランプリファイナルを振り返りたい。

全試合の採点結果を表にまとめてみた

『THE SECOND』はトーナメント形式で争われ、1対1の”タイマン勝負”で勝敗を決める。審査をするのは100人の観客。持ち点は1人3点で、審査基準は「とても面白かった 3点」「面白かった 2点」「面白くなかった 1点」だ。全試合の採点結果を表にまとめてみた。
ザセカンド

後攻が勝つことが圧倒的に多い。作表/井上マサキ

 昨年の採点と比べると「1点が0人」の組が増えている(昨年2組→今年のべ6組)。その一方、1点が目立つのが、ななまがりとザ・パンチ。ななまがりは芸風もあって予選から1点をつける人が多く、相手より3点の人数が多いのに負けてしまったのはななまがりだけだ。対戦相手のタモンズとは1点差なので、1点の1人が2点に回っていたら同点、3点ならば勝っていた。  ザ・パンチは1回戦で1点0人だったが、準決勝で4人に急増。しかし80人以上が3点をつけ、タモンズに14点差で勝利。ちなみに「4-14-82」という両極端な点数は、昨年1回戦を突破したときの三四郎とまったく同じである。
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7試合中6試合が後攻の勝利
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ライター。大手SIerにてシステムエンジニアとして勤務後、フリーランスのライターに。理系・エンジニア経験を強みに、企業取材やコーポレート案件など幅広く執筆するかたわら、「路線図マニア」としてメディアにも多数出演。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』(ダイヤモンド社)など。X(Twitter):@inomsk

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