紅しょうが優勝!波乱の『THE W 2023』採点徹底分析。代打MC山里亮太から国民投票中止まで“不測の事態”も
漫才、ピン芸、コントなんでもあり、笑いのジャンルを問わない賞レース、女芸人No.1決定戦『THE W 2023』(12月9日、日本テレビ)を制して7代目女王の座に輝いたのは、4年連続5度目の決勝進出の紅しょうが。
当日の司会者交代など思わぬトラブルにも見舞われながら盛り上がりをみせた大会を、採点結果から振り返ってみたい。
@inomsk)が『THE W 2023』を解説、お笑いを愛するまつもとりえこ(@riekomatsumoto)がイラストを担当します。
不測の事態から幕を開けた大会だった。過去最多863組がエントリーした女芸人NO.1決定戦『THE W 2023』、その当日にMCの後藤輝基が体調不良で出演できず、急きょ山里亮太が代打MCを担当することになったのだ。
山里は関西で朝の生放送をこなしたあと、東京のNHKで18時30分まで収録をしていたという。『THE W』の放送は19時から3時間の生放送。リハーサルをする暇なく臨んだのに、オープニングでは「後藤さんから『あんまりがんばるな』というLINEがきた」と明かし、審査員の紹介を軽妙にこなす。もう一人のMC、水卜麻美との息もばっちり。代打MCという不安要素を払拭し、大会を全力で楽しめる空気を作りあげる。
『THE W』の決勝は、ファイナリスト12組がA・B・Cの3ブロックに4組ずつ分かれて行われる。勝敗を決めるのは「勝ち残りノックアウト方式」。6人の審査員(麒麟・川島明、アンガールズ・田中卓志、ドランクドラゴン・塚地武雅、笑い飯・哲夫、友近、マヂカルラブリー・野田クリスタル)とdボタンによる国民投票の合計7票で、「暫定1位」と「対戦者」のどちらが面白かったかを決める。
結果から言うと、Aブロックはスパイクが、Bブロックは紅しょうがが勝ち残った。各ブロックの審査結果をまとめると、Aブロック第1試合で審査が拮抗したものの、スパイクと紅しょうがが登場してからはワンサイドゲームだったことがわかる。
紅しょうがは5度目の決勝進出、スパイクは4度目の決勝進出(うち1回はコロナ感染により欠場)。勝ち残り方式の戦い方を熟知している2組が選んだのは、漫才ではなくコントだった。
スパイクはボクシングジムで上司に見立てたサンドバッグを執拗に責め立て、紅しょうがは相撲部屋の出待ち同士が激しくぶつかりあう。声量もパワーもインパクトも十分なコントは、見ているものたちの記憶に残る。それまでの暫定1位の印象を吹き飛ばし、対戦者がネタを終えても思い出せるほどに。
また、若手からベテランまで多様な芸歴の芸人たちが揃ったのも、この2つのブロックの特徴であり、『THE W』の見どころでもある。Aブロックのはるかぜに告ぐは芸歴1年目、Bブロックの梵天は芸歴2年目ながら、堂々としたしゃべくり漫才を披露して審査員をうならせた。
そしてM-1グランプリ2006以来、17年ぶりの賞レース決勝となる変ホ長調! 審査員の川島明は「我々がM-1に出たときに一緒に戦った相手。それが新世代と戦うなんてお笑い界の葬送のフリーレンですよ」と讃える。そのあと変ホ長調の小田ひとみに「M-1のときは川島さん全然口利いてくれなかったんですけど」と人見知りを暴露されてしまうのだけど。
M-1グランプリ、キングオブコント、R-1グランプリ、THE SECONDなど、有名お笑い賞レースの採点結果を分析してきたお笑い好きテレビっ子・井上マサキ(
山里亮太と水卜麻美との息もばっちり
4度目のスパイクと5度目の紅しょうが
ライター。大手SIerにてシステムエンジニアとして勤務後、フリーランスのライターに。理系・エンジニア経験を強みに、企業取材やコーポレート案件など幅広く執筆するかたわら、「路線図マニア」としてメディアにも多数出演。著書に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』(ダイヤモンド社)など。X(Twitter):@inomsk
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