埼玉県川口市の在日クルド人が「街で大暴れ」は本当か?SNSで繰り返される人種差別の真相
2024年5月23日、埼玉県川口市などに住むトルコの少数民族クルド人ら11人がX(旧ツイッター)への投稿で名誉を傷つけられたとして、フリージャーナリストに500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、東京地裁で開かれた。
「私は第1回口頭弁論の際にも、被告より左翼系弁護士と書かれているが、保守派です。日本の国益を守るため、今回の弁護を引き受けました」
岩本氏はむしろ「クルド人がかわいそう」といった左派系の感情論とは一線を置きたい立場だ。被告のジャーナリストは、2023年5月よりXでのクルド人に対する投稿を開始している。
「無法者は無法者として強制送還すればいい。クルド人に限らず日本の法を犯す人物は検挙すればいい。実際に、バスに車をぶつける事故を起こしたクルド人たちは本国に強制送還されています。それは警察の仕事です。ただ、一部のクルド人たちが無法者だからといって、全ての在日クルド人が悪いという現在の言説はただの人種差別です。『川口』『クルド人』と主語を大きくすることで、川口在住の正規のルートで暮らしている在日クルド人や日本クルド文化協会にも、全国から脅迫状が届いています。こんなことが日本の国益になるのか」
岩本氏はXでの投稿に対し、丁寧に事実確認を行っている。2024年2月2日に一般人が「ちなみに、昨日 吉野家上青木店で無銭飲食&暴れてたクルドのガキは、前川のイオンで花火を投げ入れたガキ共です(原文ママ)」と投稿した。それに対し、株式会社吉野家に照会したところ、同社はそういった事実はないことを正式に回答している。
こういったデマ投稿は、数限りなくあるという。
原告代理人は、差別問題に詳しい東京都豊島区南大塚にある東京あかつき法律事務所の岩本拓也弁護士(55歳)だ。岩本氏への取材を中心に、筆者の現地取材の様子も交え、実際にSNSで拡散されているような事実はあるのか書きたい。
日本の国益を守るため引き受けました
「無銭飲食&暴れてた」とデマ投稿
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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