神に捨てられた健太は今――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。

連続投資小説『おかねのかみさま』21回めです。

※⇒前回「頑張ったら」

連続投資小説「おかねのかみさま」〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる

〈第21回 ヒントはここまで〉
「だからね。こういう仕事っていろいろ言うひといるけど、どんなふうに働くかはぜーんぶその人次第。それに…」

「それに…」

「毎日違うお客さんが来て、みんな何かで一流なの。それってすごいことだと思わない?」

「ハー」

「一流…」

「世の中には安いものも高いものもたくさんあって、もちろん安くて良い物もあるけど、『高くて良い物』が人間になった感じっていうのかしら。そんな人たちがいるなんて、わたしこの仕事するまでは知らななかったわ。確かにお金持ってるだけの変な人もいるけど、そういうひとたちって結局長く続かないし」

「おねぇさん!」

「なぁに?」

「お客さんと、こう、付き合っちゃったりすることもあるんですか?」

「ゴクリ」

「うふふ。そうねぇ。そういうこともあるかもしれない。でもね、あなたたちから見たらまだ世の中はナオトインティライミかもしれないけど…」

「へ?」

「ほんとは面影ラッキーホールなのよね…」

「…おも…か?」

「なんでもない♡面接は合格よ。着るものも靴も用意するから、来週来れる日をおしえてね」

「ウェーイ!!!」

※     ※     ※

——-
居酒屋リグレット
——-

「生ビールのおきゃくさま!」

客A「はーい」

「ウーロン茶は!」

客B「はい」

「ほんじつはご来店ありがとうございますっ!!!いまから私がおーーつかれさまでしたぁ!って言いますので!みなさんそれにあわせて乾杯しちゃってください!せーーーーのっおおぉおおおおおおつかれさまでしたぁ!!!!」

客A「おつかれー」

客B「ウィー」

「ご協力!ありがとうございました!!!」

店長「けんたー、電話なってるからとってー」

「はいただいま!」

トトトトトトトトトト

「お電話ありがとうございます! あのときこうしておけばもっとこうだった!居酒屋リグレット蒲田店、担当健太でございます!」

「けんたくん」

「はい!へ?え?はい」

「元気そうですね」

「か、かみさま?」

「そうです。元気に働いてましたか?」

「あ、はい。なんとか、がんばってます」

「それはよかった。けんたくんのことだから、お店が用意したマニュアルに従って乾杯の音頭とかさせられて、ノリの悪いお客さんの反応にも慣れきって、生きてるんだか死んでるんだかわからないような毎日に追われながら風呂も入らずに柿ピー喰って暮らしてるんじゃないかと心配してました」

「!!!!そ、そ、そぉんなことないですよ!楽しくやってます!!!」

「なによりです。そうそう、今日電話したのは、他に用事がありまして」

「はい…」

「実はいま、死神さんが新たなルームメイトを見つけまして、昨日から一緒に過ごしてるんです」

「!!…でも…そんなの…俺にはなにも関係のないはなしですから…」

「その女性はいま、彼ピッピが欲しいと言ってます」

「!!!?」

「そして巨乳です」

「…きょ」

「ヒントはここまで」

「え!」

「けんたくんの言うとおり、君の未来にはなにもない平和な日々が続くかもしれませんが、世の中はいつも変わり続けています。シニガミさんと歩いている巨乳女子を見かけたら、ダメ元で当たって、別の人生に踏み出してみるのもいいでしょう」

「でも!彼女は俺のこと別に知らないんだし!俺にもタイプってものが!」

「このタタミイワシ」

「!!!!」

「いいですかけんたくん。あなたの寿命がどれくらい残っているかは私も知りません。だけど君の時間にも、いつか終わりが来ることは確かです。そしてあなたの人生のひろがりを決めるのは、いままでに出会った人々ではなくて、これから巡りあうひとです。失敗がなんですか。失うものなどなにもニャイ。勇気がないなら試行回数だけでも増やしなさい」

「失うものなど…」

「ニャイ」

「にゃい…」

「そうです。では私はこれで」

「あ、待ってください!かみさま!」

「ガチャリンコ」

「かみさま…」

ヴィーン

「イラッシャマセー!」

「イラッシャイマシタ」

「あ」

次号へつづく

【大川弘一(おおかわ・こういち)】
1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。

Twitterアカウント
https://twitter.com/daiokawa

2011年創刊メルマガ《頻繁》
http://www.mag2.com/m/0001289496.html

「大井戸塾」
http://hilltop.academy/
井戸実氏とともに運営している起業塾

〈イラスト/松原ひろみ〉
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