更新日:2012年06月02日 04:15
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放射能汚染墓石を販売!?

墓石

東日本大震災では多くの墓石が倒れ、多くの人が買い直すことになったのだが……

 今年1月、放射線物質に汚染されたコンクリートが全国各地の新築マンションなどに使用されて問題になったが、実は、コンクリート以上に放射線物質に汚染された可能性の高いものが、全国に拡散した疑いがあるという。 「それは、墓石ですね。計画的避難区域内には採石場のほかに、墓石置き場も多い。自分がいた会社も、浪江町に墓石置き場がありました」  そう語るのは、福島の墓石業者・Yさん(33)だ。原発事故後、会社は県外に移転したものの、墓石置き場を移すことは簡単ではない。中国産の墓石を輸入するなどで対応していたが、間に合わず、その墓石置き場に長期保管していた石を販売した。その内情について憤りを感じながら、話してくれた。 「ただ、あの大地震で墓石が破壊されたり流されたりして、受注が殺到。中国産だけでは間に合わず、社長が『関係ないだろ、売りまくれ。墓石の線量を計ろうとする人間なんていない』と指示。汚染疑惑のある墓石の販売を率先してやっていました。墓石に使う石の多くは、表面を削れば大丈夫だし、もちろん除染(水洗い)はしました。でも、一部の石は内部まで染みこむスポンジ状になった構造の石もある。そうした石は、性質上、表面の放射性物質は除染できても、長期間保管していた石の内部に染み込んだものまではとれないんです」  福島県産の墓石は、国産の高級墓石としての人気も高い。多くは福島県内への受注だが、全国から受注があることもあり、この業者も他県の販売店に卸すこともあったという。不安視する声にも「きちんと線量を計っていますので、大丈夫です」と対応していた。 「社長は『死んだ人が眠る場所なんだから、体に害があっても問題ないだろ』って言ってました。さすがに、汚染コンクリが1月に発覚して以降は、販売するのをやめましたけどね。そのとき、社長がひと事『ウチじゃなくて、良かったな(笑)』って」  もちろん、これはYさんが勤めていた会社だけの話で、福島県産の墓石すべてが汚染されているわけではない。  ただ、汚染コンクリ問題の採石会社社長の釈明コメントを思い出す。 「放射能に関する知識がなく、正直『何で住んじゃいけないの』という程度の感覚だった」  墓参りをするたびに放射線物質の恐怖に曝されるとは……ますます日本人の墓参り離れに拍車がかかりそうだ。 <取材・文・撮影/甲斐仙一>
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