出会い系サイトの元サクラ「俺たちのファンタジーが成立しなくなった」
― 「スマホ出会い系アプリ」がエロカオス状態【4】 ―
◆スマホ出会い系台頭のせいで廃業した元サクラの嘆き
スマホユーザーの急増は思わぬところにも波紋を広げている。出会い系不況で業者が喘いでいるというのだ。大手出会い系サイトで7年間サクラを務めた河野義則さん(仮名・35歳)はこう語る。
「ほとんどの出会い系サイトでは、1%も出会えないようになっています。素人同士で出会われてしまったら会社が困る。課金制の出会い系サイトは、いかに客からポイントを削るかが勝負ですから」
夢のない話だが、河野さんは上司から「お前らは夢を与えているんだ!」、「職業はドリームメーカーだと思え!」と繰り返し吹き込まれていた。怪しいと気づく客も多かったが、中には3000万円を落とした猛者もいたという。
河野さんの会社も全盛期は月に3億円以上を売り上げ、ワンフロア100人ほどのサクラ部屋がビル全体を埋め尽くし「サクラビル」と呼ばれたほどだった。だが法改正による警察の摘発で一気に情勢は厳しくなる。嘘に塗り固められた出会い系のシステムが、いよいよ社会的に許されなくなったのだ。
「最後にとどめを刺したのがスマホの存在です。結局、客同士が無料アプリで出会えるようになってしまった。そうすると出会い系業者や、ましてやサクラの存在理由なんてなくなってしまう。出会い系なんて情弱相手のボロい商売だからこそ成立したのに……」
スマホによる打撃はそれだけではない。巧みに嘘をつきつつ、客に気を持たせるのが出会い系業者の真骨頂だが、その嘘も見破られることが多くなってきたのだ。
「『え? こっちは赤い屋根が見えるよ?』とかしらばくれていたのが、『じゃあGPS送れ!』、『動画送れ!』とリアルに追及されるようになった。あいつらスマホユーザーのリアル主義のせいで、俺たちのつくるファンタジーが成立しなくなったんです!」
こうして時代の波に乗れなくなった会社はあえなく倒産。現在はスマホに蹂躙された業界に見切りをつけ、新たな職探しの日々だ。

「情報弱を食い物にするのが出会い系基本」と不敵に笑う河野さん。反省の色は皆無だ
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