デング熱よりも怖い!? マダニが介する致死率33%の感染症
致死率約3割という出血性のウイルス感染症、「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の報告が相次いでいる。
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もっともこれらのマダニは東日本にも生息し、SFTSウイルスを保有しているものも発見されている。つまり日本国内ではどの地域でも感染する可能性があるのだ。
主な症状は発熱、おう吐、下痢、頭痛、筋肉痛などで、下血や血便などの出血症状も確認されている。血小板や白血球が減少し、重症の場合は肝臓・腎臓障害、多臓器不全などで死に至ることもある。
「ウイルスの媒介となるダニは体長約4mm、吸血すると10mm程度に大きくなるため肉眼での確認も可能です。ただ、咬まれたことに気づかないケースもあります」
血液検査などで血小板や白血球の数、肝機能値などが異常に低下していることなどが確認され、同じような症状を示すほかの病気の可能性がなくなれば疑いが濃厚。最終的には患者の血液でウイルス遺伝子の有無を調べることになる。
「高齢者や、ほかの病気で免疫状態が悪い場合は、重症化のリスクが高いと考えられています。しかし症例数が少ないため、詳細はまだ不明です」
現時点では、予防用のワクチンや治療薬は存在しない。
「血小板減少による血圧低下時に点滴をして進行を抑えたり、合併症の細菌性肺炎に抗生物質を投与するなど、対症療法を行うしかないのが現状です」
究極の対策はSFTSウイルスを持つダニに咬まれないことに尽きる。これらのダニは、山や深い草むらなどに生息している。
「山などに入る場合は、なるべく肌を晒さないことが肝要です。また、DEET(ディート)と呼ばれる化合物が含まれる虫よけスプレーを使用することも効果的です。ただし、日本で発売中のスプレーの濃度は最高でも12%で効果の持続は約2時間。長時間、野山に入る場合は2時間ごとに虫よけスプレーを使用する必要があります」
※9/2発売の週刊SPA!では、「エボラ熱より危険な[日本の感染症]」と題した特集を掲載。人食いバクテリアから薬が効かない病原菌まで、日本人が注意するべきはこっちだ!
<取材・文/週刊SPA!編集部>
SFTSは’11年に中国の研究者が報告した新種のウイルス(SFTSウイルス)が原因。ウイルスを持っているタカサゴキララマダニ、フタトゲチマダニという2種類のマダニに咬まれることで感染する。’13年1月に日本人初の患者報告以降、’14年7月末までに患者数85人、うち26人が死亡している。国際感染症センター医師の忽那賢志氏は次のように語る。
「初めての患者報告以降、過去にさかのぼって調べた結果、’05年に採取された血液検体からSFTSウイルスが発見されています。西日本のみに患者が集中しているのは、ウイルスを持つ2種類のマダニの生息数が多く、なおかつウイルスを保有しているダニの割合が多いためです」
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