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受験生に朗報「受験は3か月あれば間に合う」

「100点を目指すやつはアホ」「3大予備校、いま入るなら◯◯◯」「教師の進路指導は信じるな」「勉強だけしても受からない」etc. 医学部合格の請負人こと松原好之氏(医系進学塾ビッグバン代表)と、講義のプロ、倉山満氏(倉山塾塾長)が受験業界のカラクリを暴露しながら、志望校に最短、最速で合格する方法を徹底的に考え抜いたという『偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本』を発売する。受験シーズンまっただ中の今、「従来の受験本とはまったくちがうものに仕上がった」という異例の内容に迫る。 ――前回(https://nikkan-spa.jp/729051)は、現在の受験には「勉強だけではなく、戦略が必要だ」というお話でした。そもそも、いまの受験で「勘違いしがちなこと、多くの受験生やその親が間違っていること」とはなんでしょうか?
倉山満

倉山満●1973年、香川県生まれ。憲政史研究者、倉山塾塾長。

倉山:私が塾講師時代に気づいたのは、世の中にはいろいろカラクリがありますが、受験にもあてはまるということでした。私が教えていた個別指導塾は月謝が高いので、ある程度の期間通っても成績が上がらない子供と親は辞めていきます。成績を上げることができない、ダメな先生というのは、大概、大手予備校の先生の出来損ないです。大手予備校のプロの先生に教わってもよく理解できなかった生徒が、その先生ほどの技術も持たない先生に教わったところで、成績は上がりません。ここに大きなすれ違いがあって、生徒からすれば、「勉強は教わった」けれども、「わかる」ようにはなったわけではない。勉強を教えれば、生徒が「できる」ことを前提にしている講師は、必ず失敗するんです。こうなってはもう、戦略を伝えるどころの話ではありません。 松原:先生からしたら「そんなこともわからないのか」と驚くような生徒は、けっこういます。しかしそういう生徒でも、その「わからない」箇所さえ取り除いてあげれば、視界が開け、一気に成績が伸びる。前回述べたように「化ける」んです。しかし、その子が「わからない」箇所を探り当てられるかどうかは、講師の腕次第でもあるんです。 倉山:また、いくら頑張っても報われないという子がいます。たとえば、一日8時間も勉強しているのに偏差値60を超えられないとか、学校の成績はいいけれど、受験のために模試を受けたら偏差値40だった、というような生徒です。そこにはカラクリがあります。私はそれこそ戦略を教えたことで、偏差値28の生徒を3日間の勉強だけで偏差値43の中学校に合格させたことがあります。受験の本番3日前になって、「先生の奴隷になります」といってやって来たのですが、その子は、試験前日まで、割合とパーセントの違いがわかっていませんでした。どんなに勉強しても報われない子、そもそも「自分は勉強ができない」と思っている子でも、この通りに勉強すれば受かるという必勝の信念を身につけさせ、明確な戦略に基づいて努力を継続させれば、実際に点数も上がるし、試験にも受かる。
松原好之

松原好之●1952年、岐阜県生まれ。進学塾ビッグバン代表、神奈川歯科大学客員教授、小説家。

松原:拙著の話で恐縮ですが、私は「逆算式勉強法」というのを提唱しています。この勉強法は、試験本番の期日、試験時間、出題者の意図、それぞれから「逆算」する勉強法とはどういうものかを教えたものです。これは、基礎を完全に身につけ、それを最大限に生かすための戦略や効率を考えた勉強法だ、とも言えます。私はよく、受験の戦略を野球やサッカーになぞらえるのですが、たとえば同じスポーツでも陸上競技は、いかに自己の過去の記録を更新するか、が目標になります。しかし、野球やサッカーの目標は、陸上とは異なって1対0でも100対0でも10対9でも、勝ちは勝ちです。つまり目標は、勝てばいい。受験の戦略も、野球やサッカーと同じで「受かればいい」んです。トップで受かる必要はなく、合格ラインぎりぎりの点数でも、ともかく「受かればいい」。しかし、多くの受験生は、全教科で満点を取るような勉強をしてしまう。それはムダな勉強だよね、と私はいつも言っています。 倉山:受験における大戦略とは受験界の仕組みそのものであり、戦略とはどの大学を受けるかとか、どの科目で受けるか、ということ。そして作戦術とは勉強法であり、戦術とは具体的な問題の解き方です。実践させるのが的を外した戦術なのに、教える側が「合格戦略」などと言っているような学校は、いちばんダメです。なにもわかっていない。たとえば私の出身校である香川県の進学校では、マンガ『ドラゴン桜』でやってはいけないと言ったことを全部やっているような学校でした(笑)。中学入学時の定員160人中、上位の20人は、勉強しなくても東大に受かるような素質のある子なのですが、結果的には6年後、5人ほどしか東大に受かりません。何がダメかというと、6年間勉強しかさせないからです。6年間は一日30時間勉強しろ、といわんばかりで、高校の修学旅行もなく、とにかく「モヤシっ子」を育てる。詰め込み教育を一概に否定するものではありませんが、全科目で満点を取らせようという不合理な指導を「戦略」だと思っている。これが、本当にいけない。そんなことをさせたら、生徒は潰れるに決まっているんです。 松原:余計なことをしなければ、その20人は東大に受かるのに、その「いらんこと」を学校がしていた、ということですね。一方、大人が適切に手を加えることで成績が上がる生徒は、その20人より成績が下の層にいます。彼らにはきちんとした戦略を教えるべきですが、そういうことを学校がわかっていない。高校教師も勘違いしていて、灘や開成の生徒はガリ勉している、と思っている。それは間違いです。素質のある子は高2までは伸び伸びとスポーツをさせたほうが、結果的に合格率は上がります。灘とか開成が強いのは、進路指導である戦略がしっかりしているからです。そこが、灘や開成の生命線なんです。ほっておいても東大に入る生徒にとっての戦略と、大人が関与することで成績が伸びる生徒の戦略は、明らかに違うんです。 倉山:受験は3か月あれば間に合います。そのための考え方、大戦略、戦略、作戦術、戦術が本書にはつまっていますので、ぜひ参考にしてほしいですね(笑)。 『偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本』に書かれているテーマは、受験との向き合い方から、志望校の攻略の仕方、予備校選びなど多岐にわたっている。親が読むも、受験生が読むもよし。もちろん、親子で読んでも参考になるだろう。受験生の健闘を祈る! <取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/本多誠> 【倉山満】 1996年、中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、同大学で日本国憲法を教える。同時に2009年まで進学塾TOMASにて塾講師として食いつなぎ、「小学生から大学生までを教えて」現在に至る。2012年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開している。主著にベストセラーになった「嘘だらけシリーズ」三部作『嘘だらけの日米近現代史』『嘘だらけの日中近現代史』『嘘だらけの日韓近現代史』(すべて扶桑社)など 【松原好之】 1978年、大阪外国語大学(現大阪大学外国学部)英語学科卒業後、第3回すばる文学賞を受賞。1981年に友人と進学塾を設立する一方、河合塾にて国公立英語プロジェクトチーフとして活躍、現在も教壇に立つ。1998年には医系専門進学塾ビッグバンを設立し、以来、圧倒的な合格率を誇る。多数の参考書、問題集執筆のほか、大学試験問題、模擬試験問題なども作成、受験の裏表に知悉している。主著に『年収600万、子どもの偏差値40以上なら、医学部に入れなさい』(講談社)『9割とれる センター試験の逆算式勉強法』(KADOKAWA/中経出版)など
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