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東大合格は“親ガチャ”のおかげ?合格者たちは「努力の賜物」と口を揃えるけれど

努力できる環境という“運”

 みなさんは、平成31年度の東大入学式で上野千鶴子先生が読まれた祝辞をご存じでしょうか? 要約すると「東大に合格した自分は、努力でこの勝利を勝ち取ったと考えているかもしれないが、それは間違いで、努力できる環境にいた自分の運がよかっただけだ」というものでした。  東大に合格するためには、運が必要です。「受験をもう一度やり直したら、合格者の下位4分の1は入れ替わる」とすら言われています。まずは運があって、その次に努力が来るように思えます。  では、東大生たちはどう考えているのでしょうか。株式会社カルペ・ディエムが東大生100人に独自にとったアンケートにて「東大に合格するために一番重要な要素は何か」を問うものがありました。内容を確認してみると、以下のようになっています。  結果からは「努力」が一番割合として多いことが分かります。次いで「地頭」「先生の質」「親の年収」と続く。「運」と答えた学生は、全体の1割しかいません。  私は、この2月20日に、東大生100人に取ったアンケートデータを基にして執筆した『東大合格はいくらで買えるか?』を上梓しています。今回は、アンケート結果から見える東大生の認知のゆがみについてお伝えします。

東大生は親ガチャの存在を認識している

 先ほどの結果から、東大生は「自分の努力によって東大合格を手に入れた」と考えている人が多そうだと分かりました。  さて、世間には「親ガチャ」という言葉があります。この世には、勉強すると親から怒られる家庭がある。勝手に自分の進路を決められてしまう家庭がある。暴力を伴う虐待にまでいかずとも、そうした「精神的虐待」を受けながら育つ子どもも数多い。  東大生の多くは、こうした家庭に育っていません。多くの場合は、親からふんだんな教育投資をうけ、のびのびとした環境で育てられています。私も、世帯収入の面では苦労をしましたが、私の両親は、少ない収入の中でやりくりをして、最大限学習機会を得られるように様々な努力をしてくれました。  今回のアンケートでは「この世には『親ガチャ』があると思うか?」も尋ねています。この質問に対して「はい」と答えた東大生の割合は90%でした。また、同じくして「自分は『親ガチャ』当たりだと思うか?」という質問には85%の東大生が「自分は当たりだと思う」と答えています。  つまり、東大生の多くは、この世には「環境に恵まれない子どもがいる」と知っており、「自分たちは環境に恵まれている方だ」と考えつつも、自分の勝ち取った環境については、自分の努力によるものであると考えているのです。

『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社新書)

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見えない格差の壁
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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