甲子園バックネット裏騒動を振り返る。ラガーさんと8号門クラブとは?
スポーツ観戦では常連ファンたちによって “暗黙のルール”が作られていることが多々ある。知らずに行けばドン引きしてしまうような、傍若無人な常連ルールの実態に迫ってみた。
◆過剰な席取りに非難が殺到。バックネット裏に跋扈する常連グループがやりたい放題<甲子園>
東海大相模の優勝で幕を下ろした夏の甲子園。清宮幸太郎(早稲田実業)やオコエ瑠偉(関東一)、小笠原慎之介(東海大相模)といった次世代スター候補の活躍と相まって連日超満員。午前8時には入場制限されるなど、高校野球人気の高さを改めて示した。
だが今回の大会、熱く盛り上がったのはグラウンドだけではなかった。ネット裏のスタンドでは、常連観戦者たちによる席取り合戦が問題視され、激しい論争が引き起こされたのである。
大論争を巻き起こしたのは「ラガーさん」と呼ばれる人物をはじめとする「8号門クラブ」という常連観戦者のグループだ。ラガーさんは甲子園の全試合をバックネット裏の前列中央にあるA段73番に座り、8号門クラブのメンバーがその周囲の席を確保。トレードマークである複数のカラーバリエーションのラガーシャツを自在に着こなし、今年からは白縁メガネを着用。テレビ中継でフレームに入り、より目立つ存在となっていた。
だが、彼らが座席を確保するやり方にツイッターなどを中心に否定的な意見が飛び交い、遂にはラガーさんの座席を狙った「偽ラガー」なる人物も登場し、8号門クラブから席取りに際して「恫喝された」とツイッターで実況中継したことで一気に炎上したのである。
事態はさらに悪化し、過熱していく。署名サイトchange.orgでは「甲子園のバックネット裏は八号門倶楽部(※原文ママ)のものではありません。一部団体の私物化に抗議します」という署名活動まで始まってしまったのだ。また、それだけにとどまらず、前述の「偽ラガー」が打倒8号門クラブを標榜し、30人の部隊を編成して交代で来年の春の甲子園に乗り込む計画をツイッターで披露。寄付金を募るという異常事態に発展してしまったのである。
◆試合終了後の甲子園8号門で何が起きたのか
事態の真相を探るべく、準決勝が行われた8月19日にSPA!特捜班は甲子園を訪れた。
試合が終わるや8号門の横には決勝戦のための席取りをする人で列ができた。その先頭にいたのはいわゆる8号門クラブと呼ばれる面々。そしてラガーさん本人が登場すると、わっと人の輪がラガーさんを取り囲み、記念撮影のシャッター音が鳴り響く。
だが、騒動を受けて甲子園の警備員も神経質になっており、ラガーさんが移動するたびにファンと警備員がついて回るのだが、8号門クラブとラガーさんのアンチと思しき人物がその一挙手一投足をじっとビデオで撮影。奇妙な緊迫感に包まれていた。
「インターネットで騒ぎになってしまい、何かあったら困るわけで……。並びや列についても、(主催者や警備会社は)来年からいろいろ考えてるみたいですよ」(警備員)
主催者側も今回の騒動は看過できないと思っているようだ。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=936420
※ラガーさんと8号門クラブとは?
春と夏の高校野球大会の期間中、バックネット裏の座席を確保するために甲子園8号門入り口前に陣取り、徹夜を続けて毎試合観戦する常連グループの名称。発足は’90年ごろでメンバーは全国から集まる10人程度とされているが定かではない。そのメンバーであるラガーさんは、ラガーシャツを着て全試合を甲子園で観戦する名物おじさん。著書も3冊上梓し、テレビなどにも出演したことから看板的存在になっている。ラガーさんは甲子園だけではなく、地方大会にまで足を運んで観戦する筋金入りの高校野球好きである
取材・文/SPA!スポーツ観戦問題特捜班
― スポーツ観戦[暗黙のルール]が横暴すぎる! ―
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