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「制球難」佐々木朗希の“救世主”が攻守に不振…ドジャースが迫られる「究極の選択」とは

 ドジャースがロッキーズとの3連戦をスイープし、貯金の数を今季最多タイの「8」に戻した。  やや調子を落としていた大谷翔平もこの3連戦で、2本のアーチを含む5安打と上り調子。現地18日(日本時間19日)から始まるレンジャーズとの3連戦に向けて弾みをつけた格好だ。  週末に行われる敵地での3連戦には、日本人投手2人も登板を予定している。

佐々木朗希は前回登板で制球力が改善

 1戦目が山本由伸、そして2戦目は佐々木朗希が、それぞれ中6日で先発マウンドに上がる。なかでも、やはり注目は今季5度目の登板を果たす佐々木朗希だろう。  開幕からの2試合で4回2/3を投げ9つの四球を与えるなど、ロッテ時代には考えられない“制球難”を露呈。特に2度目の登板となったタイガース戦では、2回持たずノックアウトを食らうと、ベンチで目を潤ませるなど精神的な弱さも見せた。そんな佐々木に対して、マイナー降格論を唱えるメディアまで現れる始末だった。  それでもその後は制球難がかなり改善し、直近2試合で9回を投げて4四球にとどめている。特に前回のカブス戦では、メジャーで初めて5回を投げ切り、1四球、1失点と好投。本人もそれなりの手応えを得たはずだ。

制球力改善を支えたのは控え捕手?

 数字上は大幅な制球力の改善に成功した形の佐々木。それを陰で支えたのが、直近2試合で相棒を務めた控え捕手のオースティン・バーンズである。  思い返せば、開幕からの2試合は正捕手のウィル・スミスが佐々木とコンビを組んでいた。スミスといえば、メジャー通算113本塁打を誇る強打の捕手で、昨年の春にチームと10年総額1億4000万ドル(当時のレートで約210億円)の大型契約を交わしたドジャースの顔の一人でもある。  今季も開幕から自慢の打撃が好調で、ここまで打率.367、2本塁打、12打点をマーク。OPSは大台1.000を超える1.026で、大谷の.930を上回っている。  ただ守備面では肩の強さに定評があるものの、ボール球をうまくストライクに見せる“フレーミング”の技術に課題があるとされ、時に強気すぎるリードが裏目に出ることも少なくない。  そんなスミスとは対照的なのがベテランのバーンズだ。2015年のメジャーデビュー以来、ドジャース一筋のバーンズは、打撃面が不安定、かつ肩が弱いとされる一方で、フレーミング技術の高さは折り紙付き。さらに投手陣の持ち味を引き出す巧みなリードは首脳陣からの信頼も厚い。

昨季の山本由伸もバーンズと好相性

 佐々木はスミスとコンビを組んだ2試合で制球難を露呈したが、バーンズに代わってから改善に向かったのも決して偶然ではないだろう。実は昨季もこれと非常に似た現象があった。  それが昨季序盤の山本由伸の投球である。昨季が移籍1年目だった山本もまた、デビュー戦で1回5失点と打ち込まれるなど苦しいスタートを切った。シーズン序盤はスミスとバーンズがほぼ交互に山本とコンビを組んだが、やはりバーンズがマスクをかぶった試合で好投することが多かった。  実際に昨季の山本の捕手別防御率は、スミスの3.77に対してバーンズが1.29。まさに日本人投手にとって救世主と呼べるバーンズだが、今季は攻守に精彩を欠いている。
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厳しい成績のバーンズは佐々木を救うことはできるのか
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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