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レジーねえさんの「サンクスギビングデーには七面鳥を」――フミ斎藤のプロレス読本#139[ガールズはガールズ編エピソード9]

 レジーねえさんは静かに目をつぶり、やがて訪れるクリスマス休暇のこと、ルイジアナの両親のこと、カリフォルニアに住む弟夫婦のことなどをあれこれ考えた。  待てど暮らせど、七面鳥は現れない。待っている時間は長く感じられるものなのだろう。こういうときは、ただ待つのみである。 「お食事のほう、ラストオーダーになりますけど……」  さっきオーダーを取りにきたウェートレスさんとは別の女性がテーブルにやって来た。ためしにチェックをみせてもらったら、ターキーなんて字はほんとうにどこにも見当たらない。 「あのー、七面鳥のディナーをお願いしたはずなんですが」  レジーねえさんは絶句した。11月の第4木曜の夜にレストランで七面鳥を頼んだのに、それがちゃんと伝わっていないという現実に、である。  ミニスカートのウェートレスさんは、レジーねえさんがすがるような声で注文したターキーをワイルド・ターキー(バーボンの銘柄)と勘ちがいしてしまったらしい。ジャック・ダニエルをすすめてくれたのは、彼女なりのちいさな親切だった。 「七面鳥のディナー、サンクスギビング・ディナー・スペシャル、いただけますか?」  レジーねえさんはJDのコーラ割りを口に運び、もういちど目をつぶった。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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