更新日:2018年05月11日 16:45
エンタメ

Xが“X JAPAN”に改名せざるを得なかったワケ――紛らわしい同名アーティストたち

あの超大物シンガーの黒歴史にも関わる同名バンド

 バンド名には、X-RAYやサーベルタイガー、INSPIRE、SEVEN SEAS、GENOCIDEほか、同じもの、または綴りは違えど読みが同じものがかなり多い。  まずはX-RAY。湯浅晋と藤本朗が在籍していた関西のX-RAYと、RIOやBLIZARDの松川“RAN”敏也が在籍していた東京のX-RAYが存在していた。

関西のX-RAYのデビューアルバム『魔天-Hard Section』(1983年)

 前者は『魔天-Hard Section』(1983年)でデビューし、オリジナル・アルバムを4枚残しているが、後者の東京のX-RAYには、公式の音源がない。しかし、松川“RAN”敏也のソロアルバム『BURNING』や、早川めぐみのアルバムなどに、東京X-RAY時代の楽曲が使用されている。  余談だが、『BURNING』でヴォーカルを担当しているのは、「Mr.Crazy Tiger」名義の覆面シンガー。その正体は、B’zの稲葉浩志である。超恥ずかしい芸名であり、芸能人の数ある黒歴史のなかでもかなり上位に位置付けられよう。だがそのジャパメタ臭い唱法でもって、圧倒的な歌唱力を聴かせてくれる。

紛らわしい同名バンドたち

 次はサーベルタイガー。北海道のSABER TIGERと、横須賀SAVER TIGERの2バンドが存在する。前者は1981年に結成。オリジナル・メンバーは木下昭仁<g>のみで、在籍したことがあるメンバーは50人を超える。TVアニメ『はじめの一歩』のエンディングテーマを手がけたこともあり、現在も現役の重鎮バンドとして活躍している。  後者は、X(X JAPAN)のHIDE<g>が結成したバンドで、こちらも結成年は1981年だ。最初は「SABER TIGER」名義だったが、前述の同名バンドがいたことから、「SAVER TIGER」に改名し、また1998年に「横須賀SAVER TIGER」(HIDEが命名)として再結成した。だが同年5月にHIDEが他界し、それが遠因となって、数年後、活動休止を余儀なくされた。  次はSEVEN SEAS。筆者は00年代に活動した2バンドを確認している。そのうち片方は、「時空海賊SEVEN SEAS」に改名し、海賊に扮したコスプレによりイメージチェンジを行なった。オタク臭いメロスピ系の楽曲が多く、00年代の重要なバンドのひとつと言えよう。

時空海賊SEVEN SEASのアルバム(筆者撮影)

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Xが“X JAPAN”になったワケ
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

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