スターバックスも提案する「サード・プレイス」は普及しない。「旗振り役」が不足している<魂が燃えるビジネス>
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第27回
スターバックスは「サード・プレイス」をコンセプトとしています。家庭でもなく職場でもない第三の場所、不特定多数が集まって交流するイギリスのパブやフランスのカフェのような存在です。
サード・プレイスは注目されるようになって久しいですが、現実を見るとコンセプト通りには普及していません。カフェといえばサルトル、ボーヴォワール、ピカソなどが通った「カフェ・ド・フロール」のような文化人の社交場がイメージされます。しかし私たちがスタバにそうした文化的な意図をもって集まっているとは言い切れないでしょう。
男はPCとにらめっこ、女子は新ドリンクをインスタに投稿。そのサマを「意識高い系」「オサレ」などと揶揄されているのが実際です。こうした状態になるのはお店が悪いわけでも、お客が悪いわけでもありません。必要性が認識されているにも関わらず、それが実行されていないならば、そこには構造的な原因があります。
では、その原因とはなんでしょう。私たちのライフスタイルが多様化し、昔のように会社にすべてを委ねているわけでもないのに、自宅と勤務先以外に訪れる場所をなかなか見出せずにいるのはなぜでしょう。それは「旗振り役」が不足しているからです。
私はコーチングを生業にしていますが、1日のセッションで10万円を頂く場合もあります。普通に考えて安い金額ではありません。それでも依頼があるのは、単に私のロジックやノウハウを求めているからでしょうか? クライアントさんに直接お聞きしたことがありますが、「話している内容はなんでもよくて、佐々木さんそのものが自分のヒントになると思っている」という答えをいただきました。
人間は人間を目当てにして集まります。「第三の場所」といったテーマの場合は特にそうです。大安売りのような「物目当て」でも、ネットビジネスのような「仕組み目当て」でもありません。
だからそ「ここは第三の場所です」という提案を、私たちは持て余してしまいます。これはスタバに限りません。私たちは「情報発信者とその受信者」「教える側と教わる側」「話すほうと聞くほう」といった関係に慣れすぎてしまっています。一方的に与えられる関係が実に退屈で、ネットでも現実でも積もり積もった不満が今にも爆発しそうな空気が充満しているのを感じない人はいないでしょう。
単に情報を受信するだけならば場所は必要ありません。テクノロジーやネットワークはそれくらい発達しています。場所が必要なのは、言論にしろ身体表現にしろ、集まった人々が発信者になるためです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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