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集中力に方法論はない。集中力はエピソードが生み出す[魂が燃えるビジネス]

 いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第25回

集中力「勉強に集中できない」
「家事が手につかない」
「仕事に身が入らない」

 目の前の物事に集中できない瞬間は誰にでも訪れます。そのとき、私たちは「集中法」や「集中力」について書籍やネットで調べたりしますが、それが突破口になることはほとんどありません。

 そもそもこうした問題にインスタントな解決法はありません。目の前の出来事に集中できない場合は、「あー、こんなことやりたくないな」と嫌々ながらも、騙し騙しにやるしかありません。もちろん、そんな心境で臨んだ仕事がよいものになるはずもなく、結果も芳しくはないでしょう。過程と結果はワンセットです。

 ここまでだと身も蓋もない話ですが、もちろんそれで終わりではありません。目の前の出来事は騙し騙しやるしかありませんが、人間である私たちは次に備えることができます。そしてきちんと準備すれば、私たちは集中力を発揮できるようになります。結果もそれを生み出す過程も、手をつける前に決まっている部分があります。

 集中力は「ここから集中するぞ」と瞬間的に思ったところで、湧いてくるものでもありません。その反対に勉強にしろ、家事にしろ、仕事にしろ、「なぜ自分がそれをやるのか」という意味を把握していれば、自ずと集中できるようになります。

 なぜ勉強するのか。なぜ家事をするのか。なぜ働くのか。こうした問いかけについて「大学合格のため」「日課だから」「お金のため」といったお題目のような理由しか見つけられていないと、モチベーションが不足します。

 たとえば仕事なら「お金のために働く」というのは間違いではありません。しかしお金のために働くのは、労働者全員に共通しています。そこには個人的な、格別の思い入れというものがありません。だからどうでもよくなるのです。

 逆に小説『黒革の手帳』の主人公のように貧困で辛い思いをすれば、「お金のため」というのが強い思い入れになり、その実現を目指して集中できるようになります。

 同じ「お金のため」でもモチベーションになる場合とそうでない場合があります。その違いはエピソードです。私たち一人一人が生きてきた中で培った「こうだ」という価値観に従っているならば、私たちの人生そのものが背中を押してくれます。

 もちろんこれはお金だけに限りません。たとえば「クルマが好き」なのだとしたら、それは「金属のかたまり」として好きなのではありません。家族や恋人とのドライブ、英雄視されるF1ドライバーたちの熾烈なレース、自分で組み立てたエンジンが動いた喜び。そういったエピソードを通して、私たちはそれを好きだと認識します。そして、その認識が体験や体感に深く根ざしているほど、それを仕事にした時に創造性、モチベーション、集中力の源泉となります。

「お金」も「好き」もありふれた言葉です。しかし、そこから喚起されるイメージは一人一人違います。私たちはそのイメージ、そしてイメージのもとになる個人的な体験、エピソードにもっと気を払わなくてはなりません。エピソードを思い出すことで、私たちは集中力を手に入れます。またそうでなければ情熱は湧きません。

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相撲を見ていたら…

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