先物、取引所の新設、ハードフォークのスケジュールは必須の知識。
2017年、ビットコインの価格高騰はすさまじかった。年初の10万円台から一時期、20倍の200万円台までに価格が高騰。年末の時点でも165万円前後で推移している。
そんなビットコイン(仮想通貨)市場において、日本の取引量は全体の4割を占め、いまや世界トップの仮想通貨大国となっている。加熱するマーケットに対して「価格が行きすぎ。バブル」と懸念する意見も根強くある。ただし、その一方で大手取引所のテレビCMが連日放映され、裾野がさらに広がり、さらにDMMなど国内取引所の新規参入も続々決定。今年も価格は堅調に伸びていくと思われる。
そんな流れにうまくのるために、まずは把握したいのが重要イベントのスケジュールだ。仮想通貨の価格が高騰するには、材料となるイベントの影響も大きいからである。これを押さえ、乱高下する相場をうまく切り抜けたい。
重要イベントその1 先物取引
CBOE(シカゴ・オプション取引所)は、2017年12月11日にアメリカ初となるビットコイン先物取引を上場。また12月18日にCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)も取引を開始、ビットコイン先物の売買高は前日比2.5倍に膨らんだ。
ビットコイン先物の上場は、機関投資家などプロのトレーダーが動かす大量の資金が仮想通貨市場に流入することを意味する。それによって流動性が高まり、市場拡大が加速し価格が上昇する。
しかし空売りが増えることも予測され、相場変動がさらに激化する恐れもある。株や為替と違って中央管理者不在のビットコインは、急変動を抑える安全網がない。12月下旬、ビットコインが急落した際の下落率は、リーマン・ショックなどの他の金融市場の歴史的急落を超えたとも言われている。特にFXで利益をあげているトレーダーはよりテクニカルな知識と情報が必要だ。
2018年前期中に予定されているのは、以下の2つ。
・Cantor Fitzgerald & Co.にて、ビットコイン先物取り扱い予定
・ナスダック証券取引所にて、ビットコイン先物取り扱い予定
JPモルガンがCMEの先物取引を顧客に向け提供する可能性を発表、ゴールドマン・サックスは、ビットコインを始めとする仮想通貨の取引部署の開設を検討を開始。ウォール・ストリートの仮想通貨への動きも活発化している。
また東京金融取引所の社長が、国内において仮想通貨が金融商品と位置付けられれば、仮想通貨の先物を上場するという考えを明かすなど国内外を含めて、2018年は先物市場の展開に注目だ。
続いて抑えておきたい流れが、取引所の新設だ。まず触れたいのが、
国内取引所の新設ラッシュである。2018年には新規国内取引所の開設が控えている。
まずは1月11日にオープンする「DMM Bitcoin」だ。もともとは「株式会社東京ビットコイン」という名前で運営されていたものが「DMM Bitcoin」に社名を変更して、リニューアルオープンし、新しいサービスを展開する。取り扱い通貨はビットコイン、イーサリアム、ネム、リップル。ライトコイン、イーサリアムクラシック、ビットコインキャッシュの全7通貨。現物取引可能な通貨ペアは3種だが、レバレッジ取引でのNEM /BTCやETC/ETHなどアルトコインの通貨ペアが充実しているのが最大の特色である。
そして国内ネット証券の最大手・SBIグループが満を持して「SBI バーチャルカレンシーズ」をオープンする。現在は一般の口座開設受付開始は延期されているが、2018年1月から登録が開始される予定。取り扱い通貨はビットコイン、ビットコインキャッシュ、リップルの3種。FXと同じく仮想通貨でもGMO、SBI、DMMが揃い踏みとなる。
Amebaブログ、AbemaTVの運営で知られるサイバーエージェントも2017年10月に「サイバーエージェントビットコイン」を設立、春頃にオープンされる予定。2018年は国内取引所同士の競争が激化し、新規参入者もいっそう増えるだろう。
海外取引所のバイナンスが、日本現地のスタッフを募集開始。上陸間近か!?
加えて付記したい流れが、取引高世界1位に躍り出た海外取引所「バイナンス」の日本進出。日本の取引所とは比較にならないほど多様な通貨を取り扱い、手数料も0.1%、バイナンスの独自トークン「bnb」を使えば0.05%になるという黒船的な存在だ。バイナンスのプラットフォームは現在でも日本語に対応しているが、同社HPでは日本での現地スタッフを募集し始めている。本格的な参入とあれば、台風の目となることは間違いない。
重要イベントその3 ビットコインキャッシュを産んだ「ハードフォーク」
仮想通貨のそれまでの技術改善や仕様を変更するために行われる「ハードフォーク」。ハードフォークで生まれたコインとしては、イーサリアムクラシックやビットコインキャッシュがよく知られており、コインの価格形成に大きな影響を与える。この先もハードフォークが乱立する。
・12月31日予定ビットコインウラニウム
・12月予定 ビットコインシルバー
・1月2日 ビットコインキャッシュプラス
・時期未定 ビットコインアンリミテッド
ハードフォークで誕生する「フォークコイン」は、これまでもバイナンスやYobitなどの海外取引所で付与されてきたが、そもそも実際に使用されるのか、本当に上場するのか、など詳細が明らかにされていないものも多い。口座にビットコインを入れておけば、無料で付与されるので難解な手続きは不要だ。
またビットコインキャッシュも2018年5月15日、11月15日と2回ハードフォークを予定している。こちらは分裂ではなく技術的なアップデートだ。ビットコインキャッシュは、2017年11月にマイニングの難易度を調整するハードフォークが行われたタイミングで価格が急騰したことは記憶に新しい。事前にスケジュールが公開されていることから、注目が集まることは必至だ。
2018年もめまぐるしく動くことが必至の仮想通貨業界。市場に参加する際には、こうした流れを頭に叩き込んだうえ、投資に役立てほしい。 <取材・文/アケミン>