お金

盗まれた仮想通貨の被害届、警察は出してくれないの?――「お金0.0」ビットコイン盗まレーター日記<第3回>

―[「お金0.0」]―
 売れない役者・出野達也(23歳)は仮想通貨と出会い世界が一変。親、親戚らから借りた200万円を元手に、一時は1000万円近くまで資産が膨らむも、不正アクセスにより、口座のお金がすべて盗まれてしまう。110番通報をした出野だったが、対応した警察との会話はどこまでも噛み合わず「弁護士に相談してください」とサジを投げられる――各方面から「ワキが甘すぎる」「人生なめるな」「wwwww」等のご声援をいただく「お金0.0」、連載の3回めです。 お金0.0 第3回 「これ、なに?」 ―――――――先週からのつづき 担当者「おまたせしました」 僕「はい」 担当者「結局あなたは参考人となります。その会社に被害届を出していただいてからでないと」 僕「いまその会社から返事がこないんです!警察の方から会社に連絡していただけませんか!」 担当者「それはできません。被害に遭われているその会社が被害届を出さない限り…あっちょっと待ってください」 保留~♪保留~ 僕「・・・」 担当者「もしもし」 僕「はい」 担当者「ですので、まず会社から被害届を出してもらってください」 僕「他に…なにか方法はないんですか」 担当者「そうですねー。あとは、弁護士ぃーの先生とかにー、相談してもらうしかないんですよねー」 僕「そんな…」 担当者「では、失礼いたします」 ガチャリンコ。 ―――――― ―――――― えーと 700万円を盗まれた僕は、取引所と警察から見放された。そして「弁護士に相談しなさい」 と警察からアドバイスをもらった。弁護士? いやいや。無理。そんなお金ない。ついさっき 全部なくなったのです。もう、警察署に直接行くしかない。話せばきっと!誰か賢い人が いる!話せばわかってくれるし!きっと解決する!!!!! 3階から転げ落ちるように家を出て、新宿署に向かって全力で走る。ビルから吹き付ける 向かい風、僕はいま、署に向かって新宿の高層ビルの間を走っている。昔憧れた刑事ドラマの 追跡シーンのような状況が、こんな具合に叶うとは。 ~新宿警察署~ 広!!!!!!!!!!!!!! 20代中頃の男性が声をかけてくれた。 警察官「どうされましたか」 僕「ぜぇ… あの!!ぜぇ… 被害届を!はぁ… 出したいんです!!!!」 警察官「では、4階の刑事課まで行ってください」 大きく「GUEST」と書かれたパスを首からかけ、エレベーターホールに進んでいく。 「ドアがシマリマス」 4階に到着してドアが開くと、誰も居ないんじゃないかと思えるほど静かだった。 僕は案内のとおりに右に進み【刑事課】という文字を見つけて重い扉を押し開けた。 中にはたくさんの人。一見するとオフィスにも見えるが、この人たちがみんな刑事なのか。 最初に目が合った50代の私服のおじさんが、席からゆっくり立ち上がり、僕の方に歩み 寄って落ち着きのある声で尋ねてくれた。 刑事「…どうされました」 僕「あの、被害届を出したいんです!」 刑事「わかりました。では、ご案内しますね」 エレベーターホールに戻り、おじさんが脇の扉を開ける。 刑事「ちょっとここで待っててね」 僕「はい」 これは…噂に聞く取調室だろうか。相棒とかで見たことある…。
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