マネー

イチャモンつけたくなるオーラ――「お金0.0」〈第28回〉

 約1000万円の仮想通貨が盗まれた出野達也(23歳)。人生を波乱万丈へと誘う首謀者・Aに誘われ、六本木の社長人脈が集う西麻布の地下のお店で働き始めた出野に下された次の指令は、人力車のバイトを完全歩合ですること。「お金0.0」、連載28回目。仮想通貨盗まれた話にすっかりヒキがなくなった今、出野のマイナスからの挑戦はコンテンツを維持する力を保ち続けるのか?

第28回 単純

——-先週からのつづき

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Aさんに言われたとおり、「写真撮ります!」と声をかけ始めてすぐ、僕はお客さんよりも自分の内面の変化に気がついた。なんというか、後ろめたさが一切ない。そしてお客さんも自然と心を開いてくれて、僕に笑顔で話しかけてくれて、初めての売上が上がったあとも立て続けに3組の方にご乗車いただいた。なんだこれは。これがモテるということか。

達也「ただいまもどりましたぁ!」

A「オツカレー」

達也「聞いてくださいよ。ぼく、もうモテモテだったんですから。みんな写真撮ってあげるっていうとほんとに喜んで、僕まで写真撮ってもらっちゃったり、修学旅行の女の子たちなんかみんなでお金出し合って乗ってくれたりしたんです。重かったけど」

A「よかったなぁ。喜んでもらえた?」

達也「えぇとっても!なんだか自信がつきました!」

A
「ナニヨリ。そのまま続けていくといい」

達也「はい!!!」

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次の日

達也「写真とりますよ!どうですか!いや人力車乗らなくても!写真だけでも!」

娘AB「ほんとですかぁ~!じゃあおねがいします!」

達也「はいいきますよー!いいですねー。はいちーず。はい。いい写真が撮れました!良い旅を!」

怖兄「おい」

達也「あ!おはようございます!!!」

怖兄「おはようございますじゃねぇよ。おまえ、なにしてんだよ」

達也「え?いまですか?写真撮ってあげてました」

怖兄「おまえ馬鹿か。お前が人力車乗んなくていいっつってっから写真だけ撮って全然乗らねぇじゃねぇかよ」

達也「え!!!関係ないですよ!実際みなさんに喜んでもらえてますし!」

怖兄「おい馬鹿。俺たちはボランティアじゃねぇんだよ。タダで客喜ばしてどうすんだ馬鹿。おい」

達也「いいじゃないですか!僕のところは喜んでくれてから乗ってくれる人だっていますよ!一方的に売り込むだけで断られたことを僕にあたるほうがおかしいと思いませんか!!!」

怖兄「おーおーおー。そうか。すげぇなおまえ。ちょっとこっちこい」

達也「え。あの。痛い。腕掴まれるとあるきにくいです。ちょと、すいません。痛い痛い痛い」

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先輩「すいません!ウチの新人がなんかやらかしましたでしょうか!!!」

怖兄「なんかじゃねぇよ!おまえこいつの教育どうなってんだよ!」

先輩「すいません!まだこいつ入ったばっかりで何もしらなくて、それに輪をかけて元々ちょっと馬鹿なところがあって、なに言っても物覚えが悪くって、おまけにいちいちひとこと多くって、しかも話にオチもなくて、仲間とも会話の接点がなくて、しかも…」

達也「いや、あの、ちょっと、さすがに言い過ぎではないでしょうか…」

怖兄「オメーは黙ってりゃいいんだよ!」

達也「いででででででででで!」

先輩「何やらかしたかは存じ上げませんが、コイツのことですからきっと言うのも面倒な抜けたことをしたんじゃないかと思います。あとでキツく、本当ーーーーーーーにキツく叱っておきますので、ここのところはどうか僕に免じてご勘弁を。先輩。どうか」

怖兄「…………」

先輩「どうか。今度また、飲みにお供させていただきますので。どうか」

怖兄「わかったよ…。もう次はねぇからな」

先輩「すいませんでしたぁ!ありがとうございます!!!ほら!おまえも!」

達也「ぼくなにもわるいこt…」

先輩「すいませんでしたぁ!!!!!!」

達也「いででででででででで!」

先輩「(こっちこい…)」

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ご迷惑おかけしちゃって…

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