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仮想通貨盗まれた例の話、第2回「事件ですか? 事故ですか?」――「お金0.0」ビットコイン盗まレーター日記

 売れない役者・出野達也(23歳)は仮想通貨と出会い世界が一変。欲しいものはすべて買い、先輩女優たちから羨望の眼差しを向けられる。高揚した気分で渋谷の街を闊歩する出野の元に、口座ログインを知らせる一通の新着メール。数秒後、口座残高0円。700万円近くが一瞬で消えてしまった――話題沸騰!業界騒然!! 仮想通貨盗まれたリアル手記。犯人の方は、一刻も早く名乗り出てきてください。 仮想通貨で1000万円稼いだ若者を襲った悲劇のお話 第2回 被害届を出したいんです 『Zaif通知: Zaifへログインしました』 僕「あれ?? 俺ログインしたっけ?」 Zaifのアカウントにログインして確認すると口座残高は7,000,000JPY(日本円) 僕「あれ? 日本円は全部仮想通貨にしてたよな?何で700万もあるんだろ?」 朝まで飲んでいた僕の脳は状況を理解できず、ゆっくりと歩きながら画面を見つめていた。 ??? ブラウザを更新…… 残高         0  JPY 2018年1月9日5時9分 渋谷スクランブル交差点の真ん中で、僕はすべてを失った。 ―――――――――――――― 画面をもう一度見る。          0  JPY 何度も更新を繰り返す。          0  JPY          0  JPY          0  JPY          0  JPY 消えた。目の前で消えた。何度も何度もブラウザの更新を繰り返す。改札を抜ける、更新する、階段をのぼる、更新する、スマホを再起動する、更新する、 0 JPY。 山手線に乗り込んで、更新する、指が震える、更新する、何か、何かの問題が起きてるだけじゃないのか、更新する、更新する、更新する、更新する。 0 JPY。 新宿駅に到着し、フラフラと改札を抜けてタクシーへ。 僕「じゅうにそうどおりまで・・・」 誰もいない早朝の乗り場から、魂の抜けた僕を乗せた車が動き出す。 運「………お客さん…どしたの?」 酒くさい割に青ざめた僕の顔をミラー越しに見つめつつ、運転手が声をかけてきた。 僕「…ついさっき…財産のほとんどが盗まれました」 運「……」 僕「……」 高層ビルの間を縫い、中央公園に沿ったなだらかな坂道を抜け、沈黙のまま僕らはアパートの前に到着。 運転手は一度も振り向かず、黙ってドアを開けたあと、ひとことだけ僕に 「頑張れ」 と言ってドアを閉めた。 原色のタクシーはそのまま十二社通りを北に向かい、僕は礼を言うこともできず、深々と頭を下げて見送った。
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生まれてはじめて警察に電話
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