お金

仮想通貨は「ダメ。ぜったい。」――「お金0.0」〈第29回〉

―[「お金0.0」]―
 約1000万円の仮想通貨が盗まれた出野達也(23歳)。人生を波乱万丈へと誘う首謀者・Aに誘われ、六本木の社長人脈が集う西麻布の地下のお店で働き始めた出野に下された次の指令は、人力車のバイトを完全歩合ですること。「お金0.0」、連載29回目。バイト先の飲み会で、仮想通貨盗まれた話の顛末が久々に炸裂します。 第29回 チガーう! ——-先週からのつづき 先輩「うーん。ああいうことする人たちは単純だから、ひとまず相手のルールに従ったフリをするってのが早道なんだけど、できる?」 達也「それなら得意です!!!!」 先輩「よかった。じゃああしたから真っ先にあの人のところに行って挨拶することから始めるといいよ。元気に、ちょっとおだてながら。ああいう人たちはチヤホヤしてくれる子分を本当に大事にするから、チヤホヤする子分になったらいいんだよ」 達也「わかりました!任せてください!」 ——– —– — つぎのひ 達也「おはようございます!!!!!!いい天気ですね!!!!!!!!」 怖兄「おわぁっ!!!!なんだおめぇ!朝からうるせぇよ!!!」 達也「昨日はほんとすいませんでした!!!心を入れ替えてがんばりますのでぜひご指導ください!!!」 怖兄「お、おぅ…。わかりゃえぇのよ。もうくだらねぇことやんじゃねぇぞ」 達也「はい!!!!」 怖兄「あ、おじょうさ〜ん。人力車いかぁっすかぁ~♡」 ——– —– — 達也「せんぱい!」 先輩「お、オツカレー。どうだった?」 達也「ばっちりでした。午後なんか飲み物までくれて、人が変わったように優しくしてもらいました。ほんとにありがとうございます」 先輩「よかった。なんか変わったことしようとするとそれだけでイチャモンつけてくるタイプの人たちだから、なんかあったらまたおしえて」 達也「はい!!!」 先輩「あ、そうだ。今日みんなで達成記念の飲み会行く予定なんだけど、行けるよね?」 達也「はい!!!でも僕、始めたばっかりでご一緒してもいいんですか?」 先輩「うんいいよ。色んな人と話せるいい機会だし。じゃあ18:30にこの店で。」 達也「ありがとうございます!!!!」 ——– —– — 居酒屋 烏合の酎 \かんぱーい/ 同僚A「いやおつかれっした!今回はがんばったよ俺!目標達成したくって毎日営業がんばってたもん!死ぬかと思った!」 同僚B「すごかったっすよねー!最後の追い上げ!もう絶対追いつけないなって思いましたもん!」 同僚A「あんときの俺はもうマシンだったね。営業マシン。お客が完全にカネに見えてたし、乗らないヤツとか秒で見切ってたから。もう来月も一位取っちゃうよ。俺は」 達也「…」 同僚B「どうした新人!飲めよぉ。あ、そういやなんか、昨日モメたんだって?」 達也「はい…」 先輩「いや、モメたってほどじゃないんだけどね、あの怖兄さんに目ぇつけられて。いまはもう仲良くやってるよ」 達也「はい。とってもやさしくしてもらってます。はい」 同僚A「よかった。あのひと怒らすとこえぇからな。そういやお前さ、なんか聞いたんだけど、ビットコイン盗まれたんだって?」 達也「あ、はい」 同僚B「いくら盗まれたの?」 達也「い、いっせんまんくらいですかね…」 同僚AB「マジで!!!!すげぇな!もう返ってこないの?」 達也「はい…いろいろ手を尽くしたんですが、警察も動いてくれなくて…いまは一生懸命働いて借りた分を返そうとおもってます」 同僚B「借りた分っていくら?」 達也「借りたのは300万円です。友人とか実家の親とか、あとカードが少々…」 同僚A「ってことはおまえ、借金して博打してたってこと?」 同僚B「いや先輩!ビットコインは博打じゃないっしょ!仮想通貨っすよ仮想通貨。円とかドルとかのネットでやり取りする版でしょ?だから投資ですよ!なぁ新人」 達也「え、えぇまぁ。そうともいいますね。正確には匿名で通貨のやり取りができるブロックチェーンという仕組みがありまして、要は誰が誰に送ったかというのがほぼ追跡不可能なんです。だからぼくのお金も追跡不可能。って、そういう話じゃないですね」 同僚A「よくわかんねぇんだけどさ、誰かが誰かに送ったんなら、その送り先を止めてもらうとか頼めないの? そしたら盗んだカネも使えないじゃん」 達也「そっからまた500ヶ所とかに分散されて送金されてたりすることもあるんです。つまり、1日もすると僕のお金は散り散りに散らばって、何か所も口座を経由して、例えば盗まれたお金だということを全く知らないひとのところに移動してたりする。しかも通常の商品の対価として支払われている場合もあるんです」 同僚B「すげぇなぁ…。っていうかさ、いまからでもビットコインって儲かる? 俺もやったほうがいいのかな。盗まれないようにするためにはどうしたらいい? やったらモテる?」 達也「モテますね。一時的にたいへんモテました。いまは跡形もありませんが」 同僚A「な。結局カネだよ。100円持っててもモテないのは仮想も現実も一緒だよ。それより俺たちは筋肉鍛えたほうがモテるんだから、仮想通貨なんかやんなくていいんだよ。まぁいいから飲め。ほら」 達也「いただきます!!!!」
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「お金0.0 / ビットコイン盗まレーター日記」の漫画化が決定しました!
マンガアプリ「GANMA!」にて、週刊連載が開始しています。
閲覧無料。毎週金曜日0時に更新されます。
記事とは違った「お金0.0を是非お楽しみください!」

【アプリ情報】
GANMA! - オリジナル漫画が制限ナシで読み放題
■公式サイト:http://ganma.jp/
■対応OS:iOS、Android、PCブラウザ
■料金:閲覧無料 / プレミアム会員は月額300円~

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