バイトなんてバカバカしい…仮想通貨で1000万円稼いだ若者を襲った悲劇のお話
―[「お金0.0」]―
ビットコインの価格が1年間で約20倍になった’17年。投資初心者にまで「億り人」が続出するなか、ここにも一人、ドリームを摑み……かけた男がいた。働くとは何か、生きるとは何か、そして、お金、人生とは……? 逆境に陥った若者が、暗闇の中を手探りでもがき続ける人生譚「お金0.0」始動。
第1回 役者志望の若者・出野達也(23歳)
僕は、売れない役者だ。
生活は、母親の仕送りとアルバイトで食いつないでいる。
食事は安く済ませ、寒空の下でエキストラの仕事をこなし、役者仕事のないときには、
歌舞伎町のスナックっぽい居酒屋で、夜中までお酒や料理をつくっている。
そんな毎日に追われていた僕は、逃げるような気持ちで仮想通貨取引を始めた。
はじめは軽い気持ちで、それでも僕は自分の運を信じ、全財産7万円を取引所につぎ込んだ。
買ったのは当時50円だったモナコイン。
1週間後……
僕「あれ? 残高がなんかおかしいぞ。いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、・・・じゅうまん!?」
僕のモナコインは、一気に6倍まで暴騰した。
すぐに引き出した現金は42万円。僕の7万円は持ち歩いたことのない札束になった。
焼肉、寿司、日本酒と堪能したがお金は使い切れない。
僕は、自分の世界が変わったことを確信した。
移動は徒歩からタクシーへ。
食事は自炊から外食に変わり、一食3000円使った。
僕「仮想通貨すげえな、これじゃあバイトなんてバカバカしいじゃんw」
だが、それまでの豪遊で42万円はあとわずか。
僕「お金がないなら借りればいい」
すぐに母から100万円、弟から50万円、叔母から100万円、親友から50万円、
合計300万をかき集め、取引所に全ての資産を転送し複数の仮想通貨に突っ込んだ。
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(いでの・たつや) 1994年、兵庫県生まれ。元かけだし俳優、高校卒業と同時に上京。文学座附属演劇研究所卒業後、エキストラ出演やアルバイト勤務を華麗にこなし、たまたま仮想通貨で得た大金を秒速で盗まれる。Twitterアカウント(@tatsuya_ideno)
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