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モテる営業、モテない営業――「お金0.0」〈第27回〉

 約1000万円の仮想通貨が盗まれた出野達也(23歳)。人生を波乱万丈へと誘う首謀者・Aに誘われ、六本木の社長人脈が集う西麻布の地下のお店で働き始めた出野に下された次の指令は、人力車のバイトを完全歩合ですること。「お金0.0」、連載27回目。バイト初日の収入がゼロだった出野、その原因と対策は?

第27回 すげぇなおまえ

——-先週からのつづき

結局初日の収入はゼロ。

誰ひとり僕の人力車に乗ってはくれなかった。これほどまでに人力車を曳きたいと思ったことがあっただろうか。だけど誰も乗ってない人力車は曳いても売上にならないので、バーに触らせてすらもらえない。つまり僕は、声かけて断られるだけで初日が終わった。なにはともあれ、みなさんに報告しないといけない。

出野「初日がおわりましたぁ…ゼロでしたぁ…」

A「ん?なにが?」

なにが!!!!!???
僕に人力車やらせてること!わすれてる!!!!

B「初日だったね。おつかれさま(^^)」

やっぱりBさん。お優しい。すてき。一生ついていきます。

A「おーそうか。そうだった。いくら稼いだ?」

出野「ゼロでした…」

A「ソカー。なんて言って営業してるの?」

出野「えーと、やっぱり、『人力車いかがですかー?』みたいな」

A「あー、それじゃダメだ。モテない」

B「ですねー(^^)」

出野「え????」

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A「人力車いかがですか?って、誰のために言ってるの?」

出野「そりゃー、僕、歩合ですから、自分のためですよ。乗ってくれたら乗ってくれた分だけ、お給料多くなりますから」

A「だよな。ってことはさ、乗ってくれたら誰でもいいってこと?」

出野「そうなりますね。できれば軽い女性が長時間コースなんかを注文してくださったりするとすごくうれしくなるとおもいます」

A「だよな。誰でもいいって思いながらやってるんだよな」

出野「そういう言い方するとアレですけど、みんなそうです。特に歩合の人は」

A「で、誰でもいいやって思いながら『人力車どうっすかー?』って言われるほうは、どういう気持ちになるかな」

出野「乗りたい人はうれしいんじゃないですかね。乗りたくないひとは無視するわけだし」

A「そう。そうだよな。それがいまの日本のテレアポ糞会社の考え方だよ」

出野「へ?」

A「で、実際乗ってくれたひと、何人いたんだっけ?」

出野「ゼロです…」

A「じゃあ、声かけただけ、乗らなかった人がいたとおもうんだけど、みんなどんな顔して通り過ぎていった?」

出野「足早に…」

A「だよな。せっかく楽しい観光に来て、ターゲットにされちゃった感があったんじゃないかな。特に達也はまだ仕事をはじめたばかりだし、早めに結果出したいという気持ちが強すぎて、誰でもいいから口説き落とそうという気配があったとおもう。それだとモテない」

B「ですねー(^^)」

達也「でも…じゃあぼく、どうすればよかったんでしょうか」

A「写真とりますよ!って声かけてみ」

達也「写真とりますよ!よかったら人力車も乗ってください!ですか?」

A「違う。ただただ写真を撮ってあげて、笑顔で見送る。なにも見返りを求めない」

達也「え?でもそれじゃ、売上にならないじゃないですか。仕事にならないですよ」

A「やれっつの」

B「アドボカシー・マーケティングですねー(^^)」

A「そうそう」

達也「なんすかそれ?」

A「達也にはまだわかんないからいい。とにかく写真を撮ってあげてきなさい」

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これがモテるということか

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