仕事

色仕掛けで社長を失脚させた17歳。ハマってしまった深い闇――歌舞伎町10億円女社長

「悪いおじさん」がAさんにした提案とは?

お金「悪いおじさん」は自分の会社がとても大きいことや身につけている装飾品やお金をたくさん持っていることをAさんに自慢しました。そして、Aさんの悩みを聞いてあげ、「Bさんを失脚させれば俺のようになれる」と提案してきたのです。 「悪いおじさん」が姉妹を「アップス」に送り込んだのかどうかはわかりません。ただ面接時に、姉妹は偽造の保険証を使っていたことから、姉妹が自身の足でふらっとアップスに面接に来たとは考え難いです。  姉妹は「アップス」に入店して、やがてAさんとBさんの席につくことになります。Aさんは姉、Bさんは妹を指名して飲んでいました。次第にBさんは妹のほうに特別な感情を抱くようになります。  同伴しては「アップス」に来るようになり、休みの日にも2人で歌舞伎町を歩いている姿をちらほら目撃されるようになります。

やがてBさんと妹はラブホテルで……

 そして1か月後に事件が起きます。  Bさんと姉妹の妹のほうがラブホテルに入ってコトを行おうとしていたとき、警察が入ってきて、Bさんはその場で児童買春の疑いで逮捕されたのです。  その妹は、自らBさんを失脚させようと色仕掛けで迫ったのか、自身もBさんに恋心を抱いていたのか、今となってはわかりません。ただ私は、妹の表情を見て「Bさんのことが好きなんだな」と思っていました。それが余計に悲しいです。  Bさんの事件は新聞にも出たことから、Bさんは社員やお客様と接するのがだんだんと苦痛になっていきました。Aさんは「犯罪者と一緒に働くことはできない」と冷たく言い放ち、退職金をほとんど渡すこともなく、Bさんは会社を追いやられて辞めることになってしまいました。  結局、Bさんは、Aさんと「悪いおじさん」と姉妹に失脚させられてしまったのです。

「アップス」のお客様たちのその後

 この話はBさんが警察に捕まり会社を辞めた後で、Bさんから聞きました。Bさんは姉妹の妹とラブホテルに行った瞬間に警察が来たことをずっとおかしいと思っていて、逮捕された後会社でいろんな証拠を探しました。  すると、「悪いおじさん」が調査のために「アップス」に何度か足を運んだときの領収書がAさん宛に送られていたのと、Aさんが「悪いおじさん」にお金を振り込んだ会社の帳簿を見つけました。「でも、もう二度とAさんと関わることもないから」と、Bさんは警察沙汰にはしませんでした。  もっと早くにわかっていたら、私も姉妹をクビにするなり、Aさんと話をするなり、Bさんに忠告するなり事件を未然に防げたかもしれない。そう思うと、とても無念です。

誰かに”頼る”と”手を借りる”は違う

内野彩華

【内野彩華】新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長

 話を姉妹に戻します。繁華街には「悪いおじさん」が潜んでいます。  法律が認めていなくても、家を出て社会に出た瞬間から14歳だろうが、15歳だろうが世の中は「大人」と判断します。「子供」の部分を少しでも出せば弱者とみなされ、悪いおじさんに食い物にされます。  18歳未満でお金に困ると、正式に働く先がないので「悪いおじさん」と関わらざる得ない時もあるかもしれません。でも、”頼る”と”手を借りる”は違います。頼るから「悪いおじさんのせい」となり、手を借りたと思うなら「自分のせい」となります。  同じ罪を犯したとしてもこれには大きな違いがあります。姉妹がその後、どんな人生を歩んでいるのかわかりませんが、きちんと自分の足で立って、自分のモノサシで善悪の判断ができる大人になっていてほしいものです。  ちなみにBさん、Aさんと別れた後、また会社を立ち上げて社長をしています。もう共同経営者は絶対に嫌だそうです。騙されないようにするよりも、騙されて一時的に失脚してもまた這い上がれるパワーを持つことのほうがずっと大切です。<文/内野彩華>
新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ。著書『劣等感を力に変える 成り上がる女の法則』が発売中

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