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トイレットペーパーまで自腹の自衛隊。予算がなくて「トイレを封鎖」する基地も



予算がないことが色々な弊害を生む


「今年自衛隊に入った息子が不憫なので、定期的にトイレットペーパーを送っています」と話してくれた自衛官のお母さんもいました。トイレを我慢すると体にも支障が出るのではないかと心配しているようです。

 トイレットペーパー自腹が常態化している部隊では、こんな珍現象に発展しているのです。こんな軽微な予算ですら出せない。そのことから見えてくるさらに重大な予算不足、物資の欠乏という構造的欠陥を考えてもらいたいと思います。

 予算が尽きれば消耗品は補充できず、予定外の修理・修繕は費用がないため仕方なくほとんどがそのまま放置されます。大事なことなので繰り返しますが、予定にない修理・修繕の費用はなく、消耗品の補充はできないのです。これは非常に深刻な問題です。

 その上、さらにお金のかかる装備品の消耗品補充や修理の状況は外からはなかなか確認できません。予算がないからと修理せず、メンテナンスを怠って騙し騙し使われているようなものが、イザという時に本当に役に立つのでしょうか。トイレットペーパー問題は些細な入口に過ぎません。その奥に「お金がないから補充できず修繕できないもの」が山のように積み重なっているのです。

 さすがにこの問題はそろそろ認知されるところとなり、国会議員さんの中にも対処したいという人が出てきました。でも、無い袖は振れませんよね。防衛省を責めても仕方ないのです。防衛省がこんなに貧乏なのは国会の予算が全く足らないからです。国の省庁の予算配分は国会が決めるものであり、防衛省が決めるものではありません。責任は防衛省ではなく国会にあります。

黙って耐えてきた自衛隊員


 トイレットペーパー自腹の話をすると、自衛隊の現役隊員やOBから「そんな恥を言わないでくれ」「自衛隊をバカにするな」とお叱りを受けるのですが、自衛隊員にこんなしみったれたことをさせる防衛予算の仕組みや体制を問題にしているのです。財務省や経産省や内閣府の建物内で自腹のトイレットペーパーを見たことがありますか? 自衛隊だけにこんなことを強いる防衛予算を続けてきたことこそが、自衛隊員への侮辱だと言えるでしょう。その事実を世論に訴えない限り、現状が改善されることはありません。

 今年の防衛大綱で自民党がやっとGDP比2%、従来の2倍の防衛予算にする提言を出しました。しかも小野寺防衛大臣は「必要なものの積み上げが基本だ。GDPと機械的に結びつけるのは適切ではない」と2%にこだわらず、必要な予算を積み上げるべきだと言っています。その通りです。遅きに失した感もありますが、大きな一歩だと思います。これまで声も上げず虐げられても黙って耐えてきた自衛隊員に対し、国会がきちんと敬意を表してくれるのか、しっかり見ていきましょう。防衛予算の拡充は喫緊の課題です。国民の一人として、隊員が誇りを持って働ける揺るぎない自衛隊であってほしいと心から願っています。<文/小笠原理恵>

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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