雑学

労働基準法が適用されない…潜水艦の乗組員は超絶ブラック

「自衛隊ができない40のこと 34」

 政府が最重要課題としていた働き方改革法が6月29日に成立しました。これによって残業は年720時間、単月で100時間未満にすることが決まり、違反すると懲役や罰金が科せられることになりました。ブラック企業がこれで処罰されます。ホッとする人も多いでしょうね。でも、これは特別国家公務員の自衛官は対象外の法律で、自衛官は今も働き方改革とは無縁なのです。

こくりゅう

潜水艦「こくりゅう」 出典:海上自衛隊HPより

 自衛官の大多数を占める陸上勤務の隊員は演習や訓練などの特別の期間や災害派遣などの場合を除けば週休二日で年次休暇もとれる勤務体系で、幕僚監部や司令部などの忙しい部署以外は残業などもあまりありません。ただ、自衛官は有事や災害時の緊急対応の時だけでなく、平時も労働基準法適応外なので休みなしに働かせても違法ではありません。ほとんどの自衛官の勤務状況は問題ないのですが、ブラックでも合法なので、目を覆うような無限労働地獄が一部の職域で平然と行われています。労働基準法の適応外なので働き方改革がいう健康確保処置は取られません。殺人的な休みなしの無茶な労働状況でも合法なので、働き方改革や労基の手の届かない闇の中の職域があるのです。

蟹工船状態の潜水艦


 せっかく働き方改革法ができたことですし、陽の当たらない「蟹工船」も真っ青な自衛隊内の闇の職域「潜水艦」の様子を知っておいてほしいと思います。

 潜水艦は海の防衛の要です。2010年に16隻体制から22隻体制に増えていますが、潜水艦が増えた分少ない人数で休みを取らせず、ギリギリカツカツの運用で日本の海を守っているのが現状です。潜水艦が増えるたびに少ない人材を限界まで使うため、どんどん休日や休養の時間は削られています。

 そして、生活どころか健康管理もままならず、精神的にも追い詰められてやむなく「潜水艦を降りたいです! もう無理です!」と異動や「潜水艦から異動させてもらえないなら、自衛隊を辞めさせてください!」と退職を願い出る隊員が思っているよりも多いそうです。潜水艦はそうりゅう型もおやしお型も70人程度の乗組員で構成されています。だから数人でも休みたいと言えばその運用に大きな穴が開きます。少人数ですからね。

 あきらかに病気の症状がでていても、潜水艦乗組員は休養のための休みを取れるとは限りません。人員が充足している陸上部隊では病気であれば休みをとれます。有給も事前に言えば重要な行事さえなければ取れると聞いています。大多数の自衛官は土日祝の休みもありますから、特別な職種の厳しく過酷な長時間無限労働に気づく人はいません。自衛官の職業の募集案内にも有給あり、土日祝日休みと書いてあります。ブラック勤務なのはほんのわずかな職域だけなので潜水艦などのブラック職域の実態はなかなか明るみに出ないのです。

 特別な資質を必用とした精鋭の中で潜水艦が最悪のブラック職域なのです。しかし、その精鋭人材が使い潰されれば我が国の安全保障全体が瓦解します。ほんのわずかな職域だけだろうとみて見ぬふりをしてはいられません。

 潜水艦でもインフルエンザのような感染しやすい病気であれば休めるのでしょうが、感染しない症状の穏やかな病気やケガ、体の不調での休養はなかなかとれません。初期は軽微な症状でも早めに対処しなければ慢性化するような病気もたくさんあります。人手不足だからと病気やケガに対して十分な療養時間をあたえなければ、いずれ大変なことになります。一般企業では「今日風邪で微熱がありますから休みます。」という連絡をいれたら休みがとれます。「微熱などしらん。働け!」と仕事を強要するようなことがあれば大問題になります。自衛隊には「働き方改革」の救いの手は届かないのでしょうか?「助けてあげて!」と言いたいです。

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潜水艦乗組員も人間、休養は必要

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