更新日:2022年12月30日 09:46
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防衛の要・潜水艦の写真が簡単に撮れた…秘密ダダもれの平和ボケ

「自衛隊ができない40のこと 31」  2013年12月6日に成立した特定秘密保護法は、賛否両論の中、2014年12月に施行されました。国会内外で大きな議論になった法律ではありましたが、特に重要なわずかな秘密しかカバーできないものでした。「自衛隊として公表したくない・公表しては戦術的に不利になる多くのこと」が今もまだまだ秘密にできないままです。  たとえば、行動予定は秘密ですが、自衛隊の行動記録は秘密ではありません。先日も日報の開示請求があり、1万5000ページにわたる自衛隊の行動記録が公にされたところです。その中には一緒に動く他の国の軍に関する記述もあるため、黒塗りの部分が存在します。自衛隊が行動記録を外に出すと、一緒に活動中の多国籍軍の情報も付随して見えてくるため、他国の軍からみて秘密保持に問題があると認識されてしまいます。  「ここ数年、防衛省には年間5000件以上の情報開示請求が集中豪雨のようになされている」とジャーナリストの櫻井よしこさんがブログで指摘しています。自衛隊は秘密を守ることよりも、求められた情報を正確に開示すべき行政組織です。300円でできる情報開示請求が来れば、訓練をとめ、仕事を中止し文章を必死で検索して探し出し精査しなければならない組織です。そしてひとつでも見落としがあり、あとから文章が出てくれば大問題となります。秘密を守る努力は問われないが、情報を見せる能力は繰り返しテストされる組織なのです。だから、秘密を守る努力は二の次三の次になり、その杜撰さに開いた口がふさがらない状態になります。その一例をまた見てもらおうと思います。我が国の防衛の要、防衛機密の塊の潜水艦の話です。  海上自衛隊の艦艇のドックが一般道から見える場所にあり、撮影でき、監視できることはすでにこの連載内でお話ししました。しかし、さすがに潜水艦は違うだろうと期待していました。潜水艦だけは屋内の特別な人員だけしか入れない場所で適切に修理しているものと思い込んでいました。でも、それは幻想でした。 潜水艦の秘密がダダもれの写真 こちらが川崎重工神戸工場の潜水艦のドックの写真です。中に修理で入っている潜水艦が見えます。アンパンマンミュージアムがありお子様連れの人が集まる神戸市の観光の中心地、神戸ハーバーランド・モザイクの突堤から一眼レフで撮影しました。 潜水艦の秘密がダダもれの写真 また、神戸港から出ている遊覧船に乗ると、ドックの海側からも写真を撮ることができます。薄い網をかけていますが、写真の修整技術を使えばもっときれいな画像になるのではないかと思います。  信じられないことですが、写真を見てわかるとおり、潜水艦の修理ドックにも屋根や壁がないのです。新造艦をつくるドックには屋根や壁がありますが、多くの場合、修理は露天のドックで行います。  潜水艦のプロペラの形状や潜水艦の内部は特定秘密情報保護法の対象だったはずです。その仕様・性能又は使用方法や検査、修理又は試験の方法は秘密であるはずなのに、さすがにこれはないでしょう。修理中の外観を平気で露天に晒していて、これで本当に秘密は保持できるのでしょうか。  水上艦艇を整備するドックも一般道から見える露天、潜水艦の修理も露天でやっているのです。我が国に「自衛隊の秘密を保護しよう」という意識はあるのでしょうか? 「潜水艦のドックの写真なんて、アンパンマンミュージアム前からいくらでも撮影できるよ。知らなかったの? 撮影禁止なんて言われてないし、好きに撮影できるよ?」  生まれも育ちも神戸の神戸っ子に言われて、「ひょえ?」と変な声が出ちゃいました。 「しかもおあつらえ向きに観覧車もあるよー。撮影ウェルカムなんじゃないの?」と聞き、早速確認しに行って「なにこれ……」と脱力してしまいました。  まさに見えるんです! 泣けてきます。
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観光地で最高機密をさらけ出す平和ボケ
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おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……


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