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自己啓発の本質は「本」でも「セミナー」でもない。今すぐタダで始められる自己啓発とは?

 私たちは物事を分割して考えようとします。国立大学合格を目指すなら5教科8科目を、恋人が欲しいなら恋愛テクを、仕事で結果を出したいならセールスやマーケティングを学びます。それは決して誤りではありません。しかし、それとは全く正反対に「物事を統合して考える」というやり方も時には必要です。そして、その考え方を追求しているのが「自己啓発」であり、その成果が「気づき」です。  物事には原因と結果があります。因果関係は気づいてしまえば、シンプルで当たり前かもしれません。しかし、それを突き止める過程はとても複雑です。友人の一言、本の一行、歌の一フレーズ、自然現象や他業界のビジネスモデル。アルキメデスやジョルジュ・デ・メストラルのようにヒントは日常生活の思わぬところから舞い込んできます。そのヒントを掴めるようになるには、因果関係を突き止める練習が必要です。  私たちの周囲では日々たくさんの出来事が起きています。自分自身、家族、恋人、友人、同僚、テレビや雑誌に出ている有名人、その一人一人が成功や失敗を積み重ねています。その成功や失敗から特に印象の残った出来事について、「なぜそうなったのか?」と原因について想いを馳せてみてください。そして、自分なりに見出した因果関係をノートやメモに記録していきましょう。  初めのうちは一つの結果に対して、一つの原因しか思いつかないかもしれません。しかし根気よく続けているうちに複数の原因に気づいたり、原因のさらにその原因に気づいたりするようになります。それは自分の認識が深まった、洞察が深まったことを意味します。そしてある時、今まで全く関係ないと思っていた物事と物事が、その深まった認識によって結びつくようになります。それこそが「気づき」です。  私たちはつい横着をしようとします。自分の頭の中だけで「原因と結果」を作り出し、自分がその原因となる行動を取れば、望む結果が得られると安易に考えて失望します。こうすれば合格する、こうすれば稼げる、こうすればモテる、こうすれば痩せられる。しかし、実際はどうでしょうか。もしインスタントな方法論に踊らされて、多くの時間を無駄にしていると感じているのなら、新しいアプローチが必要なタイミングに来ています。それが方法論に変わる認識論、自己啓発による気づきです。  私たちは何に対してもつい高望みしがちですが、自己啓発はそれが特に顕著です。肯定派も否定派も「それでスティーブ・ジョブズや松下幸之助みたいになれるのか」と想像してしまいます。しかし、それは野球を始めた途端に「それでイチローみたいになれるのか」と考えるのと同じくらい不毛です。まずは「仕事の役に立つ」くらいから始めてもいいのではないでしょうか。  アイディア、イノベーション、創造性が求められる時代において、私たちの仕事においてもそのウエイトは明らかに大きくなっています。同じ仕事を短時間で大量に捌く効率性の価値が低下する一方、一瞬の閃きにお金が集まるようになっています。これからの仕事に「気づき」はますます必要になってきます。それを促す自己啓発の本質は「自己啓発書」でも「自己啓発セミナー」でもありません。自らで導き出す因果関係の記録です。ただ思いついたことをメモするだけなので、スマホで今すぐタダで始められます。ぜひ実践してみてください。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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