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「劣等感」の反対は何? 反対の状況を想像してみるとアイディアや閃きが生まれる

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第51回 文字 見えない、聞こえない、話せない。三重苦のヘレン・ケラーに対して、家庭教師のサリバン先生は手に水をかけながら「water」と指文字で何度も綴りました。すると彼女は物と言葉を結びつけられるようになり、物に名前があることを理解しました。学校の教科書にも載っている有名なエピソードです。 「言葉の存在を最初に悟った日の夜。私は嬉しくて嬉しくて、ベッドの中で、この時初めて『早く明日になればいい』と思いました」  ヘレン・ケラーは後にそう語っています。言葉を知るまでの彼女は短気でわがままだったそうです。それが偉人として語り継がれるほど変われたのは、言葉によって物事を理解し、その中で自分を見つけられたからでしょう。サリバン先生と出会った日を、彼女は「魂の誕生日」とまで表現しています。  年齢が上がるにつれて、私たちは様々な経験を重ね、様々な感情を抱くようになります。その経験や感情を表現するボキャブラリーが不足すると、自分に対する理解が低下します。自分に沸き起こった怒りについて「むかつく」という言葉しか知らないと、期待や落胆、悲しみや遣る瀬なさなど、その裏側にあった本当の気持ちに気づけません。それが「自分のことがわからない」「自分がどうしたらいいかわからない」という悩みや苦しみに繋がります。  ボキャブラリーを増やすというと、英単語帳をひたすら覚えた学生時代を思い出すかもしれません。母国語に対して同じような地道な鍛錬を続けると、知能指数が上がるそうです。とはいえ、辞書をただひたすら覚えるだけが方法とは限りません。たとえばドラマ、映画、小説、漫画、音楽の歌詞、詩といった作品に触れれば、どんな文脈でどんな言葉が生きるのかが感動と一緒に学べます。  書店に並ぶハードカバーから電車の中吊り広告まで、言葉は日常のいたるところにあり、そのすべてが学びのきっかけになりえます。その中でもオススメを挙げるとしたら、「反対語辞典」です。主観と客観。競争と協力。ポジティブとネガティブ。言葉には、それと対になる言葉があります。自分の感情や考えについて「ではその反対はなんだろう?」と考えると、そこに現状を乗り越えるアイディアが生まれます。  たとえば最近は科学的、客観的であることが尊ばれています。勉強、恋愛、仕事などあらゆるジャンルで「科学的」「客観的」「誰でもできる」と謳われています。しかし、私たちが憧れる人物は大抵ユニークで、オンリーワンで、再現性を保証できません。「誰でもできる方法」で「他者と差別化された成功者」になろうとするのは矛盾ではないでしょうか。  もちろん客観は無駄でも間違いでもありません。ただ、客観だけでは零れ落ちてしまう要素が、主観には含まれています。自分にしかない過去、そこから組み合わされたパターンが自分にしかない未来を作り出します。客観だけをテーマにしていると、自分の失敗の原因を「客観的でないこと」に求めてしまいがちです。しかし、本当の原因は全く別のところにあるのかもしれないのです。  客観を重視するならば、主観について知らなくてはなりません。主観を単なる思いつきや想像だとするならば、それは主観を軽視しています。男は女を知り、女は男を知ることで、自分自身をより深く理解します。どんなことでも反対側を知らずに、片方だけで知った気になるのは勉強不足です。  反対語辞典に書いてある内容をセットで暗記するだけでなく、自分で想像してみるのも良いでしょう。「好きの反対は嫌いではなく、無関心」という有名なフレーズがあります。たしかに「好き」と「嫌い」は「関心」という一枚のコインを裏表だったりします。仲の良いカップルが喧嘩をすると、「口も利きたくない」「顔も合わせたくない」とエスカレートしがちです。
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「劣等感」の反対は何でしょう
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