雑学

「やばいな、これ。ひょっとして俺、死ぬ?」――世界23か国、2年と8か月も続けた「世界一周花嫁探しの旅」をやめる理由

【8か国目 ネパール】

その後、6か月のインドビザが切れてしまったため、ネパールに移動し、カトマンドゥ、ポカラと60年代のヒッピーの聖地を訪れました。日本人に少し顔や感覚の近いネパール人たちが、昭和の頃の日本人のようにとても自由で大らかな生活をしていました。特にポカラの大自然は本当に美しかった。湖がどれも美しい。湖畔に写し出される雪が残るヒマラヤ山脈と湖とのコントラストは絶景です。目の前に広がる澄み渡った湖を見つめながら、仕事が忙しくてずっと聴けなかった音楽を中学生ぶりにいっぱい聴きました。人生で一番長い時間音楽を聴いたかもしれません。

ネパール・ポカラにあるベガナス湖

そんな中、ふと、あることを思いました。

「ポカラの澄み渡った湖に一番合う日本の歌謡曲は何なんだろう?」

それから約1か月間、You Tubeで1日8時間近く、ポカラの湖に一番マッチする歌謡曲を探しました。なぜそれに集中してしまったのか自分でもわかりません。来る日も来る日も湖を見ながら音楽を聴きましました。そして1か月後、ついに「これだ!」という音楽を見つけることができました。それは――

CHAGE and ASKA の『SAY YES』


ASKAの歌声は本当に澄み渡っていて美しいことに改めて気づきました。他の日本人アーティストの高音には少しストレスを感じるのですが(もちろんそれがいい味となってる)、ASKAが奏でる高音には何もストレスを感じない。本当に澄み渡っているのです。その高音と美しい湖が本当にマッチするのです。
さらにASKA の歌声に時折入ってくるCHAGEの声が重なると、とてつもなく素敵なハーモニーが巻き起こります。例えるなら、ASKA の歌声がポカラの澄み渡った湖で、CHAGEの歌声は湖畔に写し出されるヒマラヤ山脈。それ単体でも美しいが両方が重なり合ったほうがより美しい。

きっと読者の方はこの文章を読んで意味がわからないと思います。キョトンとして苦笑されているかもしれません。でも、その瞬間は確かにそう感じたのです。ASKAも『SAY YES』の一節でこう歌っています。

♫言葉は心を超えない~
 Ah~ とても伝えたがるけど 
 心に勝てない


俺がこの瞬間に感じたことはこれ以上言葉にできません。言葉はとても伝えたがるけど心に勝てないのでこの辺でやめときます……。
ネパール・ポカラにお越しの方は、大自然の中でチャゲアスの『SAY YES』をお試し下さい!!  あ、ちなみに外国の曲だとEnnio Morriconeの『Cinema Paradiso』も良かったです。こちらも宜しければどうぞ!

【インド・バラナシ】

その後インドビザを取得し、またもやインドに再入国することにしました。どうしてもガンジス川を見てみたかったからです。ガンジス川のほとりにあるバラナシというヒンドゥー教の聖地に3か月ほど宿を借りることにしました。窓を開けると荘厳で茶色く濁ったガンジス川が見えます。毎日市場へと足を運び、自炊をしながら、ゆっくりゆっくりと時が流れるインドの時間を感じることができました。

ガンジス川のほとりのメインガート ヒンデゥー教の聖地

また、バーニングガートという3000年間火が灯り続けている聖なる火葬場で、来る日も来る日も、ボーとしながら焼けゆく人間を眺め続けました。そこで焼かれるヒンドゥー教徒は輪廻のサイクルから外れることができるため、信者にとっては最高の幸せだと聞きました。読んだ本にはどれもそう書いてありました。

ある日、90歳近いおじいちゃんが伴侶のおばあちゃんとのお別れの儀式をしている姿を見かけました。おそらく彼らは敬虔なるヒンドゥー教徒です。おじいちゃんは、おばあちゃんのご遺体が焼け落ちる姿をじっと見つめています。おばあちゃんはこの聖なる火葬場で焼かれ、最高に幸せなはずです。しかし、途中からおじいちゃんの足がプルプルと震えだし、地面に崩れ落ちてしまいました。そして焼けゆくおばあちゃんを見つめながら、おいおいと泣き崩れてしまいました。きっとおばあちゃんを心から愛していたんでしょう。いくらおばあちゃんが死後に幸せになるとはいえ、やはりお別れは本当に悲しいものなのだなと感じました。俺も数年前に親友を肺がんで亡くしたから少しは気持ちがわかります。聖なる火葬場では毎日毎日同じ様な悲しいお別れがありました。そんな光景を毎日見るにつけ、人間とは何か? 人生とは? 生と死とは?を徹底的に考えさせられました。そして、こう誓いました。

「何かの影響で人生が変わるのを待つのではなく、今この瞬間を一生懸命生きよう」

ヒンデゥー教のババ

ちなみにですが、バラナシで有名な古代インド占星術の先生に自分の人生を占ってもらいました。最初の質問で唐突に「すみません。俺、何歳で死にますか?」と質問したところ、

「何かお悩みでもあるんですか?」

と少しびっくりとされました。自殺志願者だと思われたようです。しかし。聖なる火葬場で考えたことを話すと、こう答えてくれました。

「83歳と3か月まで生きる」

意外と長い!
まぁまぁ先だな!
残りの人生をどう効率的に楽しむか、旅をしながら考えることにしました。

そんなこんなで結局、インドにはトータル9か月も滞在することになりました。いわゆる「インドにハマった。いや、インドに沈没した。つまり、インドに恋をした」という典型的な旅人となってしまったということです。

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初めて行く中東のイスラムの国

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