雑学

「やばいな、これ。ひょっとして俺、死ぬ?」――世界23か国、2年と8か月も続けた「世界一周花嫁探しの旅」をやめる理由

ある日のこと、サイレントババという「10年間誰とも喋らず、身振り手振りだけで生活しながら修行している」ババ(悟りを開いた聖者)と遭遇しました。聖者の割にはド派手な衣装とドレッドヘアーで、どこかパーティーピーポーのようにも見受けられます。ジェスチャーだけで会話する動きもどこかファニーです。

サイレントババ 10年間喋らない修行をしている

彼に誘われ、一緒にチャイ(インドのミルクティー)を飲んでいると、急にもぞもぞと動き出し、紙とペンを取り出し何やら書き始めました。

ババ「シェアの精神はヒッピーの文化じゃない。インドの文化だ。お前はシェアについて勉強しろ!」

何かを俺に伝えたいようです。以下筆談です。

俺「どうやって勉強すればいいんですか?」
ババ「俺がお前だけにとっておきの方法を教えてやる」
俺「本当に!? シェア文化をもっと学びたいです」
ババ「今すぐできる方法がある」
俺「どんな?」
ババ「お前はイイやつだから特別に教えてやろう」
俺「ありがとうございます!」
ババ「じゃあ、まず、お前のつけている時計を俺にくれ!」
俺「え?」
ババ「その腕の時計だ」


俺の時計は旅の前にいろいろ考えた末に買ったカシオのデジタルウォッチです。

俺「どうしてですか?」
ババ「それをくれればいろいろと気づきがある」
俺「いやです」
ババ「くれ!」
俺「いやです!」
ババ「大切なものを人にあげる。それがシェアの精神だ!」


彼は俺の手を取り、無理やり時計を外そうとしました。

俺「やめろ! これは大切なものなんだ!」

俺は大声をあげました。すると、

サイレントババは急に大きく身振り手振りをし、大笑いしているような動きを見せました。もちろん声は出していません。

ババ「冗談、冗談。冗談だよ。Don’t Worry be happy by ボブマーレー」
俺「……」


後でわかったのですが、実は彼、そういう手口でツーリストに近づき金品を巻き上げる「自称ババ」だということでした。「盗みも働く」との噂を一緒に旅してるインド人のヒッピー友達からも聞きました。
ここには本物のババもいましたが、そんな偽ババも混在しています。だけど誰も気にしない。そんな多様な人々を受け入れるインドの懐の深さを感じました。サイレントババは今日もどこかで生き生きて人々を騙してるはずです。

「でも、サイレントババってどこか憎めないんだよな~」

ヒンドゥー教の創設神話にも出てくるマナリに滞在した後、世界一危険な道を通りインドの最北端部のヒマラヤ山脈へ。標高4000メーターに位置するスピティバレー(スピティの谷)にある世界一標高の高い村に移動しました。雪が残るヒマラヤ山脈に囲まれた、綺麗な川が流れるチベットの村です。

朝日を浴びるスピティの谷

そこで偶然出会ったチベット人の夫婦のご自宅に招いて頂き、チャイとチャパティー(インドのパン)をご馳走になったうえにホームステイまでさせて頂くことになりました。電気は3日に1回数時間しかこなく、お母さんが早朝に川にくみに行った水を家族でシェアし、飲み水、トイレ、皿洗い、水浴びするのも共同という生活です。お母さんが苦労してくんできた大切な水を使用するのに、どう効率的に使用すれば良いのか?を考えながら生活をしました。その村は標高が4000メートルを超えているので空気も薄い。まさにミニマリズムの極み。自分は何を捨て、何を必要とするのか?を深く考えさせられました。

お世話になったチベット人のお母さん。本当に優しい方でした

隣の家に行くのにも、命の危険があるような急勾配の崖を登り降りしなければなりません。自然環境のかなり厳しい村でしたが、チベット仏教を生活の中心とし、自然と人間との共生を考えながら静かに生活をするチベット人たちからとても大切な何かを教えて頂きました。チベット人は本当に本当に優しかった!

標高4000メートルの村 頂上にはチベットのゴンパ(寺院)がそびえ立ちます

他にもこの村で、チベット人カップルの結婚式に参加させていただいたり、標高4700メーターあるヒマラヤの山頂まで登山をし、そこで5時間近く瞑想をしながら『地球との共生』について考えたりもしました。

結婚式の着付けをする花嫁 女人しか入ってはいけないのですが許可を取って撮影させて頂きました

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ネパール、ヒッピーの聖地へ

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