女性1500人と交わっても…アラフォーナンパ師の「満たされない人生」
ナンパ師にしかわからない隠語はたくさんある。女の子に話しかけて歩きながら話すことは「平行トーク」。連絡先を聞きだすことは「バンゲ」(電話番号ゲットの略だろう。いまならLINEゲットか)。
僕が一番好きなのは「地蔵」だ。街に出たはいいものの、目の前を通り過ぎていく女の子に声をかけられず街角でずっと佇んでいる状態をさす。仲間のナンパ師と地蔵しながら話す会話は「地蔵トーク」という。
「それで、あっという間に100人斬りできたんだよね。1年もかかんなかった。でも全く満足できなくてさ。また1年もしないうちに200人達成したんだけど、それでも満たされないっていうか。世界が変わらない」
僕がセル君と出会ったのはこの頃のこと。
池袋の路上で知りあって話すようになり、一時期毎日のように一緒にナンパをしては、地蔵トークに花を咲かせていた。
セル君はすぐにターゲットを掴まえては「連れ出し」(居酒屋・マンガ喫茶・カラオケ・ホテルに連れていくこと)て、いなくなってしまうのが常だったけど。
「ナンパブログを書いてたときもあったよね。それでまたケット数が一気に伸びた。ランキングで上位にいきたいからさ、女の子をゲットしたって記事を書かなきゃ、そのために1人でも多くとエッチしなきゃって」
セル君にとってはゲット数を増やすことが目的なのだ。
だから僕は彼から、女の子の詳細について聞いたことがほとんどない。
歌舞伎町で姉妹に声をかけてそのままホテルに行き、3Pしたという話が印象に残っているくらいだ。
彼女ができた、という話を聞いたことが一度だけある。
それでもナンパはやめず、半年ほど付き合った頃にそのことがばれて「ナンパやめてくれる?」と懇願されたけれど、「わかんない」と答えて別れることになったのだとか。
彼女はどれほど傷ついただろう。百歩譲って過去の浮気は許せたとしても、今後もそれを続けるかもしれないと宣言されたのだ。
大切な彼氏から、ひとりの人間として尊重されていない。性欲のはけ口のひとつとしか思われていない。
そう気がついた彼女の絶望はどんなものだっただろう。おそらく、セル君には彼女の気持ちはわからなかった。
ナンパブログを書いていたとき
歌舞伎町で姉妹に声をかけてそのまま3人で
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