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なぜ定年後も働き続けるのか? 貯金があっても隠居しない人たち

 平均寿命は4年連続過去最高を更新し「人生100年時代」といわれる一方で、年金制度はいつ破綻するかわからない昨今。もはや定年後も働くのは当然、死ぬまで働き続けるしかない時代の生き抜き方とは?

定年

※写真はイメージです

県庁で35年間地道に勤めてようやく得たゆとりの老後


 死ぬまで働く人のなかには、金銭的な理由だけでなく、社会とのかかわりを重視している人もいる。現在67歳になる吉沢幸光さん(仮名)もその一人だ。吉沢さんは地元の国立大学農学部の大学院まで進み、その後県庁に就職。農政関連の部署で35年間真面目に勤め上げた。

「年収は最高のときで800万円程度。ただ、50代以降は財政赤字削減のあおりを受けて職員の給料は一律カット。700万円くらいまで下がりました」

 とはいえ、30代で購入した一戸建てのローンも60歳の定年前に完済しており、現在の貯金は3000万円弱。大学卒業と同時に学生時代の同級生と結婚し、翌年生まれた長男はすでに独立しており、教育費などの心配もない。年金額は夫婦で月27万円程度。定年後には夫婦で中東やヨーロッパ一周旅行に出かけたりと、存分に引退後の生活を楽しんでいた。

アブダビ

定年後には妻と二人で中東やヨーロッパにごほうび旅行。アブダビにも行った

「とはいえ、引退後ずっと家にひきこもっているのもつまらないしボケそうで……。35年間ずっと真面目に働いてきたからか、やっぱり仕事がないと社会との繋がりを断たれたようで虚無感、孤独感を感じてしまうんですよね」

 そんな事情もあって、吉沢さんは現在、県庁勤務時代の繋がりを生かしてカルチャースクールで農業関連の講座や、就農希望者への講座の講師を月に2~3回行っているという。

「まあ、講師といってもお小遣い程度のもので、月8万円にもなりません。でも、人に必要とされているという実感を得ることができるし、稼いだ分は自分のお小遣いとして好きに使えます。体力的にも、自分にはこれくらいの働き方がちょうどいいと思っています。それに、妻も私がずっと家にいたら正直、息が詰まるんじゃないかと思うんですよね(笑)」

 唯一の悩みは、今年40歳になる一人息子のこと。

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問題はこれからの世代がマネできるか

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