無駄に豪華だけど木目の設定がない
この世代のクラウンは「無駄に豪華」と言われるぐらい、豪華な印象が強いかと思います。それは1世代前の7代目クラウンも同様で、内装が「地方のスナック」などと揶揄されることもあるぐらいです。
シートの質感はとても良い。座り心地はとても良いし、生地のモケットも上質だ
しかし、この7代目と8代目は豪華だという印象の一方で、高級車によくあるアイテムがないのです。そのアイテムとは「木目パネル(木目調含む)」なのですが、ダッシュボードにもドアにも一切ありません。
6代目にも、9代目にも木目(木目調)パネルが存在していたため、このクラウンにはあえて採用されなかったのでしょう。7代目と8代目は同じ開発責任者だったため、おそらくその方のこだわりだったのだと思います。ちなみに木目を使わない高級車は、日産インフィニティQ45が他に存在しますが、このクラウンはそれに先駆けています。
そろそろクラシックカーとなりつつあるこの8代目ですが、走行性能は意外と不足ありません。一般道を走る分にはとても快適に走り、カーブも下手なミニバンより良く曲がるのではと思うこともあります。ただ、そのハンドリングは独特で、古さを感じるのは確か。セカンドカーとしてなら不満がなくても、普段使いには、今どきのクルマと大きな差を感じるといえます。
トランク部分が長く、伸びやかで美しいフォルム。合理的なデザインが求められる現代では、世界的にこのようなデザインは無いと思われる
そんな、このクラウンの最もな短所といえば、安全性です。この時代の日本車では安全性能が重視されておらず、このクラウンの安全性能にも疑問があるといえます。エアバッグは後期の一部上級グレードを除き装備されていませんし、ボディ側面もペラペラに感じます。また、ABSすらオプション設定であり、なにかと安全への関心が薄いクルマといえます。特に、助手席の足元には物入れがあるのですが、それが万が一衝突した際には、スネに直撃しそうな位置にあるのが気になります。
8代目クラウンの中古車の事情
8代目クラウンは、5年ほど前まで、ワンオーナーの程度の良い個体がゴロゴロしており、それらは総額30万円程度で購入可能でした。しかしそんな8代目クラウンも、最近数が減り、売り値も高くなっているなど、以前とは様子が変わりつつある状況です。
リアシートの後ろ部分には冷蔵庫が備わっている。ただ、この位置はかなり使い勝手が良くない
独特の世界観があり、作りがよく、クラシックカーとなりつつあるこのクラウン。今においてもそこまで故障しなく、普通に乗れてしまうため、とても魅力的なクルマだと思います。ですが、やはりなにかと「古さ」を感じるため、今において普段遣いの1台としては、これを選ぶ理由は強くないといえます。ただ、セカンドカーとしては最高で、独特な世界観を安く味わう事ができると思います。
このクラウンは、世界中探しても同じ匂いのするクルマを見つけられないほど独特で、このような個性は今後世界中の自動車コレクターから暑い視線を浴びるのではないでしょうか。
そういう意味では、まだ現実的な価格で購入可能である今、セカンドカーとして楽しむのに良い1台といえるかと思います。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、
「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『
腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『
もう新品は買うな!』がある