お金

年老いた親のカネは子が管理すべき。定期預金はさっさと解約を

フツーの家庭でも遺言書は必要だ

 亡くなった親が契約していたNHKの受信料を、何年分にもわたって請求された……という投稿がSNSで話題になったのを覚えている人もいるだろう。これとよく似ているのが「ゴルフ会員権」や「リゾート会員権」の相続。親の死亡時に売却するなり譲渡するなりして手放さない限り、延々と年会費が発生することになる。 「その他にも、各種保険やケータイ料金など親の死後に解約しなくてはならないものは多い。これらを一つひとつ確認するのは大変です。複数の口座から料金が引き落とされている場合は、親が元気なうちにメインバンク一本にまとめましょう。通帳を見ながら解約すれば、解約漏れによるムダな料金の支払いも防げます」(永峰氏)  また、忘れてはならないのが不動産。実家の建物や土地をはじめ、親が保有している不動産の資産価値はチェックしておこう。 「『うちは田舎だから大した価値はないだろう』などと思っていても、ぎりぎりのところで相続税の対象になることはあり得ます。対策しておけばよかったと後悔するかわりに、ネットでさくっと調べておきましょう。国税庁の路線価図を見れば、1平方メートルあたりの価額が1000円単位でわかります」(相続に詳しい税理士の秋山清成氏)  最後に「遺言書」は必要なのだろうか? 「僕自身は、遺言書は作ってもらうべきだったと強く思っています。母の死後、父は『遺産は不要』と表明したのですが、すでに認知症を患っていたために、その意思は認められませんでした。結果、受け取る予定のなかった母の遺産分が増えたことで、父の財産は相続税の基礎控除分を超えてしまったのです。これは、父と母の2人が元気なうちに話し合って『母が先に死んだ場合、父は相続しない』という遺言書を残していれば避けられた事態でした」(永峰氏)  一見、ドラマのような相続争いとは無縁に見える家庭でも、遺言書が力を発揮するシーンはあるということだ。なお、効力に確実性を求めるなら、公証役場で証人立ち会いのもとに作成する「公正証書遺言書」を選ぶべし。 《TO DO LIST 親のカネはこう管理せよ》 □キャッシュカードの暗証番号をゲット □定期預金を解約する □複数の銀行口座を一本化する □子や孫名義の口座がないかチェックする □実家(持ち家)の資産価値を調べておく □ゴルフ会員権などの有無をチェックする □タンス預金やへそくりを探す □親に遺言書を作成してもらう 【永峰英太郎氏】 ルポライター。新聞社、出版社勤務を経てフリーに。4年前、認知症の父親の後見人となる。著書に『認知症の親と「成年後見人」』(ワニブックス) 【秋山清成氏】 税理士。相続税に携わって41年の、元国税調査官。秋山清成税理士事務所代表。著書に『間違いだらけの相続税対策』(中央経済社)がある ― [老親のカネ]防衛術 ―
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