43歳・元うつ病のキックボクサー松崎公則 引きこもりから『ロッキー』ようなチャンピオンへ
入会して半年ほどで、アマチュアの試合に出始めたが、その頃はまだ不安定で、抗うつ剤を服用していた。最初の頃は負けてばかり。しかし、だんだんと勝ちだしてトーナメントで優勝する。その頃から、ジムの仲間にうつのことを隠さないようになった。
そして、33歳でついにプロデビュー。異例の遅さだ。デビュー戦はKO負け。その後、負傷によるTKOはあるものの、倒されてのKO負けはない。
「試合に負けた翌日も、すぐに練習に来ていました。狂ったようにサンドバッグを打ちまくって。休むと不安になってしまう。戻れなくなるんじゃないか、落ちていってしまうんじゃないかと。負けて自分を責める気持ちがケガの痛みよりつらかった。相手は怖くないんです。まわりの期待に応えられないことが怖い。」(松崎)
36歳のとき、3連続TKO勝利を挙げた。「その頃は、それほど長くプロを続けるつもりはなかった」という。そして’12年、WPMF日本スーパーフライ級王座決定戦で勝利し、日本チャンピオンに。当時を知るジムの練習生が言う。
「映画の『ロッキー』みたい。人気も認知度もなく、マッチメイクでは有望選手の“当て馬”にされてきた。ジムで一番獲りそうにない人が最初に獲ったんです。みんな泣きましたよ」
43歳、うつの4冠チャンピオンの活躍は、多くの人に希望を与えてくれる。
<取材・文/遠藤 一 試合写真/イーファイト>
― 43歳うつのチャンピオン ―

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