「女は介護に使える」“男の子が欲しかった両親”から虐待を受けた29歳女性。暴行の後遺症に苦しむ「その後の人生」
父と母……親を思い浮かべるときに、どのような気持ちになるかは人それぞれである。大半の人は“大切な存在”なのではないだろうか。たとえどんなに親に苦しめられても、人生を壊されても親は親。介護になっても、可能な限り協力したいと思う人が多いだろう。
それを大きく飛び越え、「親の介護ですか……ボッコボコにしてもいいならいいですよ」と話す、29歳のまなみさん。
穏やかに、気さくにインタビューにこたえてくれた彼女をそこまで言わしめる両親。一体何をされたのだろうか。
前回に引き続き、毒親被害を受けた彼女のインタビューをお届けする。
まなみさんは「まず、両親とは話が通じません」と話す。特に、家の中で父は絶対的な権力があり、どれだけ理屈がおかしくても、どれだけ矛盾をしていても、自分の気分を損なえば子どもをサンドバッグにしていたという。
「物心ついてから家を出る18歳までよくあった話です。外食に行く際、父に『何が食べたいか?』と聞かれます。父には自分の答えてほしい答えがあるんですよ。そんなときに私が、父の思うことと違うことを言ったら、そこから怒り始めるんです。『はぁ?なんでそんなしょうもないこと言うんや。お前にそんな権利があるなんて、勘違いすんじゃねえよ!』といった言葉が、だんだんヒートアップして、顔につばがかかるくらいの近さで怒鳴られて。それどころか翌日から無視されて、父は母に『あいつにメシやんなよ』と指示し、母親はそれに従います」
食べたいものを言わないのも、「そんなことも言えないのか」と怒りにつながる。かといって控えめに「なんでもいいよ。お父さんの好きなものが食べたい」と言っても、「なんでもいいとは何様や」と始まる。まなみさんに逃げ道はない。
約10年前、まだ高校生だった頃、大学進学を希望した彼女は両親に反対され「高校を卒業したら働け」と言われていた。しかし、就職活動において両親はまったくの無関心。仕方なく高校の就職斡旋の求人から自分で見つけた会社に応募し続け、とあるバス会社から内定をもらうことになった。就職を機に、とにかく家を出ることさえ出来ればよかったのだが……。
「寮付きの仕事で内定をもえました。主にバスガイドの仕事だったのですが、これが両親をはじめ、親戚一同から猛反対を受けたんです。とんでもない偏見なのですが『バスガイドなんていう仕事は、ふしだらな女がする仕事や!』とか言って……。そして、両親は校長先生や担任の先生、就職関係者を集めて話しに行って、内定を取り消されてしまいました。両親は自分たちのプライドのために、私を公務員や銀行員など他人にマウントをとれる職業に就かせたかったみたいです」
一度、こんな騒ぎを起こし内定を取り消したが最後、高校の就職斡旋の制度は利用できなかった。1人でハローワークに行ったり、企業へ直接応募したりしても「なぜ高校の制度を使わないのか」と不審がられ、門前払いに……。働き口を見つけられないまま、卒業式の日が前日に迫り、このままニートになってしまう彼女は、怒りをぶつけたという。
「私はもう限界だったんです。『お前らが内定取り消したからやん!毎日毎日会社まわって、面接受けに行ってたんだよ!どうしてくれんねん!』と喚きに喚いて、目が開けられないほど大泣きしながら初めて両親に歯向かいました。積もりに積もった怒りと悔しさと悲しさで、文字通り必死の訴えをしたんです。しかし両親はまったく聞く耳を持たなかったですね」
理不尽に怒鳴りつける父親
決まった就職先に対して、両親がまさかの行動に…
人生で初めて親に怒りをぶつけた結果…
会社員兼ライター、30代ワーママ。世の中で起きる人の痛みを書きたく、毒親などインタビュー記事を執筆。
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