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元うつ病、43歳のキックボクサー・松崎公則 「常に弱気」な4冠王の闘い

 “中年王者”と呼ばれる、元うつ病のキックボクサーがいる。43歳、日本チャンピオン4冠王の松崎公則だ。33歳という遅すぎるプロデビューから這い上がってきた男が、25歳下の挑戦者と防衛戦を戦った。

顔に皺が刻まれた“中年王者”の闘いが始まった


松崎試合写真

25歳下の挑戦者との対戦。試合が始まってすぐに松崎(右)は「強い」と感じたという

 10月20日、東京・後楽園ホール。「J-NETWORKスーパーフライ級」のタイトルマッチ。決して満員とは言えない会場に、異例の男性合唱曲「いざたて戦人よ」が響き、顔に皺が刻まれた“中年王者”が入場した。のぼり旗はない。松崎公則(43歳)、「元うつ病」のチャンピオンだ。

 初戴冠したWPMF日本王座は、2度目の防衛戦で陥落。その後、2015年に「REBELS-MUAYTHAIフライ級王座、2016年に「同スーパーフライ級王座を獲得。しかし、いずれも初防衛で王座を失っている。2017年には「J-NETWORKスーパーフライ級」を獲得。そして、今回がその初防衛戦だ。

 試合開始のゴングが鳴った。

 挑戦者は今年9月に他の団体のタイトルをKOで獲得し、勢いに乗っている18歳の大崎孔稀。幼い頃からアマチュアで活躍し、直近の戦績は4連勝している。

 1ラウンドから松崎は「強い」と感じたという。3ラウンドに入り、パンチを主体に打ち合いに行くが、相手も応戦。4ラウンドには、ヒジやヒザの痛烈な打撃を受けた。ローキックを蹴られまくり、松崎の動きが止まった。いつ倒れてもおかしくない。

倒れない

相手の痛烈な打撃を受けまくる松崎。しかし、決して倒れない

 最終の5ラウンド。両者はためらうことなく打ち合った。セコンドの鈴木会長の手にはタオル。松崎は超接近戦を挑み、愚直にヒジで相手の顔を連打した。ポイントを取られまくった以上、KOかTKOを狙うしか逆転の望みはない。

 終了のゴングが鳴った。

 その瞬間、糸が切れたように、松崎はその場に倒れた。ベルトは奪われてしまった。

 試合後、松崎はこう語った。

「一発でも当てたいと思っていた。最後まで立っていれば、チャンスはあるから」

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「自分が強いなんて思ったことがない」

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