ニュース

平成最後の年末。「天皇退位特例法」を巡る政府とゴー宣道場の攻防を振り返る

クリスマスイブに集会。小林氏の「ダメ出し」に感心

 高森氏は皇室研究者として精力的に活動するかたわら、『ゴーマニズム宣言 2nd Season』の単行本1巻を12月12日に上梓する漫画家・小林よしのり氏が主催する、「ゴー宣道場」という公開討論の場に参加している。現在、この「ゴー宣道場」には「師範」と呼ばれるいわば「レギュラー講師」が4名いる。高森氏は、2010年の立ち上げ当初から参加している師範の1人だが、小林氏との出会いは「ゴー宣道場」よりも前にさかのぼる。 「小林先生とは、『新しい歴史教科書をつくる会』で初めてお会いしました。小林先生と言えば、過激な人というイメージがあるかもしれませんが、実際にお会いしてみると、じつに細やかな配慮をされる方で。ある年、私が12月24日に緊急集会を開催した後、小林先生に言われたことは今でも覚えています。『高森さん、今日はクリスマスイブだよ。活動家や運動家だけ集まれるような日に集会を行うのはダメだよ』って(笑)。ああ、この人は物事を客観的な視点で見る力も優れているんだなと、感服しましたね」  その後、小林氏は同会を抜けることになるが、2人の交流は続き、小林氏が立ち上げた「ゴー宣道場」で再び手を取り合うことになる。だが、高森氏によると、「当初、小林氏は『ゴー宣道場』という名前にするのを渋っていた」と言う。 「小林先生は、『ゴー宣道場』という名前だと自分の宣伝のようになりかねないと、ほかの師範たちに気を使われていました。しかし、より多くの方に知ってもらうためには、インパクトのある名前のほうがいい。すでに『ゴー宣』という著名なコンテンツがあるので、それを利用しましょうと我々が押し切りました」
「ゴー宣道場」で発言する高森明勅氏(2018年3月11日、大阪にて撮影)

「ゴー宣道場」で発言する高森明勅氏(2018年3月11日、大阪にて撮影)

 こうして2010年4月にスタートした「ゴー宣道場」は、すでに78回(12月9日現在)もの討議を重ねており、高森氏が得意とする皇室に関してさまざまな問題も取り上げてきた。特に2016年7月の天皇の生前退位の報道からは討議が集中。同年8月7日の第57回「おそるべき天皇 生前退位の真相」から、翌年6月11日の第64回「公の為に~生前退位と共謀罪~」まで、全8回に渡って議論が行われた。  当時の議論の大筋はこうだ。「天皇の生前退位のご意向を叶えるには、どうすべきか。憲法は皇位継承のあり方は『皇室典範』の規定によることを求めているが、現行の『典範』は天皇の譲位を認めていないため、生前退位を行うには『典範改正』が必須だ。さらに、天皇陛下が皇太子殿下に譲位したとしても、現状では20年後の皇室には70歳以下の皇族は悠仁親王お1方しかおられないという事態になってしまう。もし典範改正となると、女性宮家や女性天皇を認めようという議論は避けられない」。 「そもそも女性天皇が禁止されたのは、明治の皇室典範からのこと。長い皇室の歴史から見れば、わずかな期間に過ぎませんし、元明天皇、元正天皇のように母娘二代続けて女帝となった例もあります。また、女性天皇を禁止したのも、女帝が結婚した場合、夫が天皇よりも上の存在と見られて不都合だという男尊女卑の古い考えと、子は父親の血筋だけを受け継ぐという中国から伝わった『姓』(現代における名字とは別)の考えによるもの。どちらもすでに旧時代の遺物になっています。  そこで側室がなくなった現代の条件のもとでは、皇室の存続を図るためには、どうしても皇室典範の改正を行う必要があるのです。ただ、国民の多くは女性宮家や女性天皇を受け入れていますが、狭い保守業界の内部には女性天皇や女性宮家を認めるべきではないと考える方は少なからずいるので、ずいぶん叩かれました。以前、小林先生が『天皇論』で『女系の天皇が誕生しても失望しない』と書かれたとき、私はカットしたほうがいいですよと逆に進言したこともあります(苦笑)」  高森氏は、2016年10月9日に行われた第59回「高森明勅 皇室典範改正案 公表!」で、タイトルの通り、皇室典範改正案を発表。「ゴー宣道場」で山尾志桜里議員や倉持麟太郎弁護士と出会った高森氏は、一昨年、民進党の皇位検討委員会に出席する。同委員会は、「皇位継承等に関する論点整理」を、有識者会議のレポートに先んじて提出。質、量ともに有識者会議のレポートよりも重厚なものになっており、「皇室典範特例法」に大きな影響を与えるなど、「ゴー宣道場」の活動が政治を動かす結果となったのだった。 取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
ゴーマニズム宣言 2nd Season 第2巻

終わりゆく平成。しかし、『ゴー宣』の「最期の戦い」はまだまだ終わらない!小林よしのりが平成を総決算!新天皇即位を寿ぐ


ゴーマニズム宣言 2nd Season 第1巻

あの『ゴーマニズム宣言』が、23年ぶりに『週刊SPA!』に復活!! 小林よしのり、最期の戦いが「より凶暴に」始まる!


※※高森氏も登場し、小林よしのり氏が「男系盲信は伝統ではない! 女性差別以外の何もでもないのだ!」と主張している『ゴーマニズム宣言 2nd Season』は、12月12日発売!!
https://www.amazon.co.jp/dp/4594081185/

⇒【試し読み】『ゴーマニズム宣言 2nd Season 第1巻』

【本誌掲載内容】
第1宣言  復活の狼煙を上げる
第2宣言  西部邁、属国に死す
第3宣言  権力忖度システムの愚劣
第4宣言  立憲的改憲という選択がある
第5宣言  女人禁制は伝統ではない
第6宣言  セクハラより人材だ
第7宣言  枝野幸男・コスタリカ・ガンジー主義
第8宣言  長谷部恭男の愚民思想を撃つ
第9宣言  地位協定と憲法9条
第10宣言  安倍「自衛隊明記」の危険
第11宣言  「自衛隊明記」に潜むコンプレックス
第12宣言  君たちはどう生きるか
第13宣言  オウム教祖・幹部、死刑執行
第14宣言  なぜ高学歴の若者がオウムに入ったか
第15宣言  VXガス暗殺団との戦い
第16宣言  吉本隆明らインテリの犯罪
第17宣言  オウムを利する危険なリベラル

BEFOR 2nd Season
特別収録  教育勅語で道徳は復活しない
特別収録  憲法と山尾志桜里の真実

檄文 『ゴーマニズム宣言』の復活をここに宣言する!





おすすめ記事