大麻大量所持者は「売ってない」を証明するために必死になる<薬物裁判556日傍聴記>
なぜ大麻を380gも持っていたのか。そもそも柏原には月に15g程度大麻を吸引する習慣がある。その習慣を鑑みても、多い量ではないか。弁護人は当然の疑問を口にします。ちなみに弁護人から最初に「僕の質問が終わってから答えるようにしてください」と釘を刺され、それ以降も度々注意されますが、質問に食い気味に答えるのは、被告の性格を表していると言えるかもしれません。
被告人「今回大麻を買ったジョルジョという黒人の人がいるんですけど、その人は、そうっすね、あの、10何年前かに出会って、その何年後かに連絡が取れなくなったりとか、国に帰ったのか何なのかわからないんですけど、そういうことがあるんで、そうですね、まとめて、まとめてというか、本当はそんなに買うつもりもなかったんですけど、いろんな種類もあるということで、好奇心だとか、そういうのもあって、結局たくさん買うことになってしまったというか、はい。買って、自分で保管して、使用しようみたいな。はい」
弁護人「いったんここまでにしておこうか。今のお話だと、ジョルジョという人から買ってたんだけども、そのジョルジョって人とは10数年前に知り合ったということでいいんですね?」
被告人「はい。そうです」
弁護人「で、あなたの供述調書によると、平成18年頃に連絡が取れなくなっちゃったってことですよね?」
被告人「そうですね、はい」
弁護人「このジョルジョからはね、そうやって連絡が取れなくなって、なかなか買えないこともあると」
被告人「あります、はい」
弁護人「うん。あの質問終わってからにしてください」
被告人「はい」
弁護人「で、買えないこともあるから今回まとめ買いしたということなんですね?」
被告人「はい」
ここからジョルジョとのやり取りについての質問が続き、全部で7種類買ったと回答。さらに、ジョルジョから大量購入に至った理由について、最初に買った「スカイウォーカーOGクッシュ」が「僕も、その、20数年こう大麻に接しているんですけど、あの、もうあの、なんていうんでしょう、例えば、大麻に接する時は見た目だとか、香りだとか、口当たりだとか、煙の濃さとか、その、いろんな部分や、いろんな角度から見たりして接しているんですけど、それがもう、なんというか、その、どれにおいてもすごく今まで出会ったなかでも優れていたんで、はい」という、およそ被告に有利とは到底思えないような心情を自ら吐露します。
こういったやり取りは、後半の検察官の質問でも一貫して変わりません。ここからは検察官とのやり取りを紹介しましょう。
自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す
記事一覧へ
記事一覧へ
※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。
https://note.mu/so1saito/n/nc976576a6b29
この特集の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ