更新日:2019年10月18日 15:35
仕事

キャバ嬢社長が味わった歌舞伎町の修羅場。「1億かけてもお前をツブす」と脅され…

「1億かけてもお前をツブしてやる!」

一万円札 数々の暴言を吐かれ、店に置いていたゴルフバッグを投げつけられ、キャバクラをその日、クビになりました。お客様の名刺も全て没収。最後の月の給料(12月だったので普段より多いはず)ももらえません。「絶対に、5000万かけても、1億かけても、お前をツブしてやる!」と捨てゼリフを吐かれました。  そのあと、私は一人で風林会館の喫茶店に入ってコーヒーを頼みました。言いようのない恐怖と、これから先の未来への不安とオーナーに対する悔しさで、コーヒーを持つ手がぷるぷると震えたのを覚えてます。  でも今、考えれば、それは私にとってはいいことだったと思います。  もしオーナーが「あやかちゃんが独立するの、楽しみにしてるよ。がんばれ!」と快く私の背中を押してくれたら、私はオーナーに気を使ってしまい、心が散漫になっていたはずです。三行半を突きつけられたうえに、オーナー自ら宣戦布告してくれたおかげで、私の中にふつふつとした闘志がみなぎったのです。  そういうわけで、私を本気にさせてくれたオーナーには、今となっては感謝するばかりです。

やっぱり「男気」だけでは商売はできない

 とはいえ、お店を出した後も、オーナーの嫌がらせはずっと続きました。  まず、当時、私を指名してくれていたお客様全員に「あやかちゃんはある男の愛人になって、その人からお金を出してもらって、店をはじめた。だから、いくらお金を使っても付き合ってくれるわけない、無意味だよ」とウソの情報を流しました。  それから「あやかちゃんの店に行くなら、これからツケで飲んでもらうのもやめにするし、ネクタイなどのプレゼントもなしにする」と言い放ったそうです。当然、お客様は「あやかの店で飲んでいることがオーナーにバレたらマズい」と、私を怖がるようになりました。  しかし、この時、私は「男気」や「一本気」だけで商売はできないんだと悟りました。オーナーは「1億かけてもツブしてやる!」と言っていたので、ヤクザなどを雇って、お店で暴れさせることを漠然とイメージしていました。  しかし、男気のあるオーナーでも、こんな陰湿な嫌がらせをするのだと。そして、これまでの私ならこの類の嫌がらせには「オーナーの言葉を信じたきゃ、そっちを信じれば?」と仏頂面でタンカを切っていたのですが、蛇の道は蛇です。

「みかじめ料」を要求する電話がかかってきた

「あやかちゃんは愛人」と言われるもより先に「オーナーに給料ももらえなかった。お店をツブすとおどされた……」「私オーナーが怖い、でも負けない!」と、あえて”かわいそうな私”を強調し、悲劇のヒロインが頑張る姿をお客様にアピールしました。  本来、私はそういう姿を全面に出してアピールせず、黙々と働くタイプでした。  でも、女優ばりに「女の弱さ」をアピールしたおかげで、ある一部のお客様は前のキャバクラに定着することになりましたが、大部分のお客様は「あのオーナー悪いやつ! 俺はあやかちゃん応援する」という流れに変わっていきました。  私は腹のなかで「勝った!」と思いました。しかし、その後、ヤクザを名乗る組織から「みかじめ料」を要求する電話がかかってきました。  今なら暴対法(暴力団対策法)が敷かれているので、この通話を録音して、警察に通報すれば、彼らは即逮捕されるところですが、当時はまだそのような法律はできていませんでした。
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とぼけて「オーナーはいまいません」
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新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ。著書『劣等感を力に変える 成り上がる女の法則』が発売中

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