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親が死ぬとトラブル続出。パスワードがわからず損するケースも…

 親の旅立ちを見送った後、傷心に浸っている暇はない。従来のように葬儀、遺品整理、相続だけでなく、昨今ではデジタル遺品の処理も必要だ。 親が死んだらやるべきこと

葬儀や遺産相続だけではない新たな問題が噴出!

 突然の親の死――。誰もが避けては通れないことだが、悲嘆に暮れる暇もなく災難は続く。  昨年9月、都内に住む会社員・橋本建さん(仮名・47歳)は静岡県の実家で一人暮らしをしていた父親(78歳)を脳卒中で亡くした。  当時の状況について、橋本さんはこう振り返る。 「父親が死んだと聞かされたとき、まず何をどうすればいいのかさっぱりわかりませんでした。20年以上前に離婚した母に連絡しても『そっちで何とかしてくれ』と丸投げされ、途方に暮れましたね」  橋本さんは医師から死亡診断書を受け取り、数年ぶりに叔父に連絡。叔父のアドバイスを受けながら葬儀を行うことになったが、そこで新たな問題が発生したという。 「いざ葬儀を行うとなっても、誰を呼んだらいいかわかりませんでした。父のスマホもパスワードがかかっていて見られないし、父に届いていた年賀状にも電話番号までは書かれてないので……」  葬儀を終えた橋本さんには、さらなる苦労が待ち構えていた。 「父親の健康保険証などがどこにあるかわからず数日かけて家中をひっくり返して調べました。その後も半年くらいは、毎月1~2回は静岡に帰って支払いを済ませたり各手続きしたり……。さらに面倒だったのが、実家の建物や土地が祖父から父に相続登記されていないことが判明したんです」  それにより、司法書士に連絡したりと橋本さんの手間がいっそう増えたことは言うまでもない。

不動産や貸金庫は相続人のはんこが必要

 不動産の相続は、親の死後に大きなトラブルになりやすい問題のひとつだ。司法書士の長谷川絹子氏(シルク司法書士事務所)が解説する。 「2~3世代にもわたって相続登記されていない不動産というのは珍しくないんです。というのも、相続登記は義務ではないため、相続税の申告が不要ならば、相続手続きをすることなく親族がそのまま住んでいても、特に生活する上で問題がないからです。このような不動産を相続するためには、相続を受ける権利のある親族全員のはんこを遺産分割協議書に押さなければなりません」  所有者不明土地問題研究会の推計では、日本国内の長期間未登記の土地の面積は約410万ha、即ち九州全域の面積(約368万ha)を上回る。 「似たようなケースで最近多いのが貸金庫のトラブル。親御さんのなかには『遺言書は貸金庫に入れてある』と言い残して亡くなる方もいますが、貸金庫を本人以外が開ける場合、相続人全員のはんこが必要です」  相続人が単独で貸金庫を開けてしまうと、財産を着服してしまう恐れがあるためだ。とはいえ、全国各地に散らばった相続人全員からはんこをもらうのは極めて困難だ。
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