ライフ

「発達障害かも?」と思ったらどこに行けばいい? 当事者にきいた「病院選びテクニック」

発達障害

※写真はイメージです

当事者たちはどんな「病院選びテクニック」を持っている?

 では、そのような状況下で、自分が「発達障害かも?」と思ったらどんなアプローチをするべきなのか。筆者がこれまで当事者たちから見聞きした「病院選びテクニック」のパターンを紹介していこう。 パターン1 まず初めにカウンセリングへ。自分の困りごとや医療に求めることを整理し、安心して精神科へ  上述したように、精神科は困りごとや生きづらさのすべてを解決してくれるわけではない。自分の困りごとや精神科に求めること、医療にかかる目的をカウンセラーとともに整理し、万全の状態で精神科に行くと、スムーズに診察を受けられることがある。カウンセラーから、適した病院を紹介してもらえるケースもある。  カウンセリングは、病院に在勤しているカウンセラーか、民間のカウンセリングルームが一般的だが、大学が運営するカウンセリング室は社会人でも安価に利用できておトクだ。また、企業は福利厚生として匿名で受けられるカウンセリングを用意していることもあるという。会社員なら要確認だ。 パターン2 当事者会で情報収集。自分に合いそうな精神科を探し出して受診  例えばADHD(注意欠陥・多動性障害)に処方されるコンサータという薬は、処方には特別な許可が必要で、処方できない精神科医も多いということは意外と知られていない。また、WAIS-Ⅲという心理検査を受けられない病院も多い。 コンサータ処方資格やWAIS-Ⅲの有無は、実際に診察を受けた人に話を聞くと手っ取り早い。当事者会やSNSなどで当事者の体験を集めてから精神科にかかるのは有効だ。その際、「発達障害に強いかどうか」という情報だけでなく、「診察室に圧迫感のない広さがあるか」「先生の声は高いか低いか」などのディティールを知り、自分自身に合う病院を選ぶのもいいだろう。 パターン3 セカンドオピニオンで発達障害の検査を受ける  すでに精神科にかかっていても診断が出ずにモヤモヤしている場合、セカンドオピニオンが有用になるだろう。初診料、心理検査料、薬代で3万~4万円かかるケースもあるが、1割負担の「自立支援医療」を適用できる場合もある(主治医の許可のもと、事前申請が必要。心理検査には適用できない場合もある)。  うつ病などの二次障害がある場合は、いつもの通院でケアをしながらセカンドオピニオンを受けられる。必ずしも、いきなり転院する必要はない。ちなみに当事者の中には、サードオピニオンを経験した人もいる。 パターン4 オンライン診療で、地方からでも都市部のクリニックを受診できる!  まだまだ浸透しているとは言えないが、オンラインのビデオ通話で診察を受けられる仕組みがある。国も、オンライン診療の指針に関する検討会を設置するなど前向きだ。初診やWAIS-Ⅲなどは病院に足を運ばなければならないといった制約はあるが、住んでいる地域に良い病院がないといった理由で諦める必要はない時代が来つつある。 ***********  筆者も発達障害の当事者であり、日々さまざまな当事者たちと接したり、取材をしたりしている。私たちを取り巻くあれこれについての“ホントのところ”を、これから複数の記事にわたって伝えていきたいと思う。 <取材・文/えんどうこうた(@kotart90)>
1
2
3
発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害の認知が広まるなかで増える「グレーゾーン」に迫る

おすすめ記事