R-30

自分は発達障害かもしれない…可能性を認めたくない人の苦悩

 SPA!でも’18年に2度にわたり、大特集を展開した発達障害。その取材をきっかけに生まれた『発達障害グレーゾーン』(姫野桂著)も発売即重版となるなど、大きな反響を呼んでいる。第3弾となる今回は「発達障害という診断名がついていない人々」の苦悩を追った。

本

発達障害当事者のために書かれた本は「共感できることが多くて、読んでいたらなぜか落ち着く」とのこと

毎日の服薬や「手帳」を持つ生活に抵抗がある

佐藤重治さん(仮名・36歳)/契約社員/ADHD・LD傾向

●ADHD(注意欠陥・多動性障害)……不注意や、多動・衝動性がある。予定のダブルブッキングや遅刻など、ケアレスミスが発生しやすい。また、思ったことをすぐ口に出してしまうケースもあるため、人間関係のトラブルに繫がることも

●LD(学習障害)……知的な問題がないにもかかわらず、読み書きや計算に困難が生じる

「結局は自分が『障害者』になることがまったく受け入れられないし、それはきっとこれからもずっと変わらないと思うんです」

 自身の生きづらさを認めながらも佐藤重治さん(仮名・36歳)はそう内心を打ち明ける。

「昔からずっと周囲に馴染めない感覚はありました。一緒にいても何が楽しいのかよくわからなかったり。ただ、それでも学校で孤立していたわけじゃないし、勉強もそれなりにはできていました」

 そんな佐藤さんの毎日が“それなり”ではなくなり始めたのは、大手スーパーで勤めだした社会人1年目だった。

「研修まではまだなんとか周囲とあまり変わらずできたのですが、配属されると仕事の段取りがまったく頭に入らず、何度も同じミスを繰り返していました。よく会う取引先に『初めまして』って名刺を出したり……最初は怒られたりもしましたが、次第に周りも何も言わなくなりましたね」

 いづらさを覚えてその年のうちに退職して以降、佐藤さんは工場内での軽作業やビルの清掃などの仕事で生計を立てているという。

次のページ 
今、特に困っていることもないから…

1
2
発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害の認知が広まるなかで増える「グレーゾーン」に迫る





おすすめ記事